リードアラウド認定講師講座第8回報告その2 『We Found a Hat』指導編〜リードアラウド研究会

これまで何度か書いたが、先生というもの、そして大人というもの、子どもを前にするとすぐに「親心」で教えたくなってしまうもののようだ。リードアラウドではその「親心」を封印して、子どもへの発問とそれに対する応えで指導する。

今回は、模擬授業に時間を多めに使い、私の代わりに参加者同士で問いかけあうことで、模擬授業と読解を同時に進めてみた。先生役が読解を深める質問を考え、生徒役のその他のみんなに投げかける。質問を考えながら気づくのは、自分がよく本を読み内容について考えていないと、いい質問ができないこと。

自身が、テーマを多角的に理解しそれを子どもの思考に「翻訳」して尋ねる。5W1Hの質問や、Yes/Noで答える質問を混ぜ、応えに応じて本を読み進める。

今回たとえば「このカメは〇〇しているけれど、どうしてかな?」と尋ねた人。この一見良さそうな質問、でもNG。

ふたつの質問「このカメは何をしているのかな」それから「どうしてそうしているのかな?」というせっかくのふたつの質問を一つにしてしまっている。もったいない。「どうして?」はわからなくても「何をしているの?」という事実関係には答えやすい子どもがいたかもしれない。一人の子の答える機会を奪ってしまったのかも!

また「これ、怪しいね」と感想のようなものを先生が自分で漏らしてしまうことも、子どもには残念に違いない。「この目つき、どう思う?」と質問を投げかければ、「怪しい」などと気楽に答える子もいただろう。もしかしたら、「怪しい」なんて陳腐と思わせる、本質をもっとぐさりと突くすごいことを言ってくれるかもしれない。その機会をわたしたち自らが潰してしまってはいけないだろう。

それからもう一つ、この日も見受けられたのは、子どもに尋ねたのはいいが、子どもの応えを無意識に無視すること。見えなかった、聞こえなかった、という理由があるかもしれない。ならば、もっと注意を向けること。また「無視された」子は表情を微妙に変えている。そこでも取りこぼしを拾える。気づかなかったこと、コメントしなかったことを「すまない」と思うように。あまり気にしない子どももいるだろうが、気にする子はかなり気にする。実は子どもの権利としては、気にすべきことなのかもしれない。やる気にも関わってくる。先生たるもの、子どものやる気を削ぎたくはないはずだ。

今回のような子どもへの発問と応えの演習が、私たちの子どもへの「説明グセ」を治す役に立つか、様子を見てみたい。

We Found a Hat

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