表現と身体の関係:認定講師講座8月報告その2~リードアラウド研究会

8月の半ば、土、日と連日で、認定講座を開講した。

ベテラン揃いの年間コースが土曜日、翌日は新人の多い一日講座だった。

「アクティビティ」、「シアターゲーム」などでの表現演習を多めにしたプログラムという構成は前日と共通だった。この一日講座、課題書は永遠の名作『Where the Wild Things Are』。

朗読をしょっぱなにひとりずつ披露してもらうが、いつもながらに驚くのは、その仕上がり具合。とても完成度が高い。「before」がそんなで、講座の最後に披露してもらう「after」との差(上達度)がはっきりつかないとか、講座の「効果」が分かりにくくなってしまうのではないか、という主宰者側の懸念もある。

しかし、わたしにはそれがとても刺激的、チャレンジング!こんな上手な方々に3時間でどこまで磨きをかけられるか?


ああ、よかった!この日も、仕上がりは上々だった。

それは、シアターゲームやアクティビティという身体を使った表現演習に負うところが大きい。

一番変化がわかりやすかったのが、本の登場人物の声。主人公のMax、その母、wild things、ナレーター、大まかに言えばこの4種を、声の要素であるpitch(高低)、rate(緩急)の組み合わせで、別々の声に聞こえるようになったこと。

頭のなかで「こうすべき」と考えるだけでなく、実際に喉と口と身体を使って、声の高低を変え、早く読んだりテープの遅回しのように非常にゆっくり読んだりの緩急の練習のおかげだ。

聴衆には、これだけでも物語が非常にわかりやすくなる。

演習は基本的なものだが、効果は抜群だ。ただ、時間を経るとまた少し単調、平坦に戻るので、朗読前に今回の演習をすると効果が復活する。

もうひとつ、これは参加者がどの程度自覚できたかわからないが、Animal Walkという一見「ふざけている」と見えるかも知れないシアターゲームの、効果が絶大だった。

animalsの代わりに、この日はwild thingsをイメージして、実際に巨体を揺らし吠えまくり、歯をむき、目をぎょろつかせながら部屋中を歩き回るというもの。それを見ながら該当部分を読み手が読み、歩くほうもそれを聞きながらさらに感じを出して歩く。

随分とエネルギーを使わせてしまったが、朗読への効果という見返りは大きいだろう。上っ面ではない、動作や形態をイメージさせるroarだったりrollだったり、clawsだったりになったのだ。これが聴衆にはたまらない。楽しくなるのだ。

豊かな表現には読解も欠かせないが、机上で理解するだけでは出せるものではない。身体的な演習も必須だ。このことが、この日、文字通り身にしみたかも知れない。

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