今回の課題書は、パパやママが赤ちゃんに読んであげたくなる本。
オーストラリア政府がイギリスの王子誕生の公式贈り物にした1冊でもある。
今回の講座では、どう「パパ、ママ」に本書を指導するか。
それと並行して、わたしたち指導者がどう朗読するか。
これが2本柱だった。朗読について気がついたことを記す。
まず、本文の英語。これは難しくない。
しかし、すっきりして素直な言葉のなかに、まず、母になるものの子ども全部にたいする愛や、本能的な平和や平等への意志がある。
それから、わが子へのへその緒で繋がっているような身体的な愛というか、ベタな愛がある。
ーなんて考えると、表現は難しくなる。
言葉に感情を乗せる、それをより滑らかに、心地よい起伏をもってする演習もやった。
個々の内容的な差はあれ、演習のBEFORE/AFTERで、良い方向への変化があるのは嬉しい。
今回興味深かったのは、微妙な口調の温度というか、語り手と目の前のシーンとの距離の差だ。
距離が遠い、との感想をもらった人は、少し近づけるために次のようなことをしてみたらどうだろう。
語り手はだれか。だれの声で読むかを考える。
語り手は新生児の母だ。
このキャラクター造型をしてみよう。
多分20~30歳台か。初めての子ども?
我が子が生まれる前も、ほうぼうの赤ちゃんを愛でながら、特にその手足などがたまらなくかわいいと感じていた人だ。
広い視野を持ち、差別意識がない。
そんな自分も待ちに待った赤ちゃんを授かって、幸福感が溢れる。
我が子とふたりの時間、人目を気にせず愛情を表す。
リードアラウドのベテランは、表現や設定を一ひねりしたくなるかも知れない。
だが堪えて。
まずは一般的な、ベタなこの感じを丁寧に表現してみよう。
普通の人を演じるのはかえって「芸達者」には難しいかもしれない。
でも普通も作れるようになりたい。