「インプロ」と訳されることが多いImprovisation(略:Improv)のクラスをアメリカで受講するようになって、今年は3年目。
2時間ずつのクラスが8回で1コース。
滞在日数の関係で、いつも4回までしか受けられず、万年初級クラスである。
でも、目的が日本でのリードアラウド指導に役立てたり、
アクティビティとして日本人向けにアレンジすることなので、かえって初級クラスを何度も受けるほうが役立つような気もする。
実にいろいろな演習(or シアターゲーム)をするのだが、それら演習をする意味が、よくわかってきた。
Improvの大切なコンセプトのひとつに、「リスクをとる」というのがある。
演習の多くが、この「リスクをとる」ことの演習につながっているのがわかってきた。
リスクをとる、とは言い方を変えれば、
新しい考え(思いつき)や解決法をいつでも受け入れられるように、心を開いておく、
ということ。
目の前に現れた状況や事情を、受け入れること。
リードアラウドで言えば、子どもに質問して想定外の応えを出されたときなどが、この状況にあてはまる。
子どもに発問すること。
そしてその応えを受け入れること。
これは指導者が準備していた答えとか進め方どおりに出来なくなる、「リスクをとる」ことだ。
これが、これまでに話題にしたこともある「Yes, and」の「Yes」の部分。
リスクをとって、yesと受け入れる。
それから、
and〜を付け加える。
すなわち、
その応えをした子どもと協働したり、
その子の考えを深めたり広げたり、
その場にいる全員に働きかける。
指導者にとって、発問することはリスクを取ることだが、
子どもにとっても、発言はリスクだ。
このリスクをとった相手に対して、Improv.では素晴らしい、「取るべき態度」が約束事にある。
それは、
Embrace failure
失敗を失敗にさせないで、肯定すること。
Create safety
「ここなら、いいんだよ」と、安心の場を提供すること。
リスクをとったことを常に肯定し、支える。
周囲にそういう肯定的な態度で接される限り、リスクを取って応えたり発言した子どもには、「失敗」はない。
発言すること、質問にこたえることは、大人も子どもも勇気がいること。
この勇気ある行動のあとに、いつもそれが肯定され支えられるなら、人はより楽な気持ちになれ、またリスクを取る気概が出てくる。
この心がけは、英語学習者にも大いに役立つ。
文法や発音を間違えたらどうしよう
とずっと発言しないでいるのではなく、リスクを取る。
これが、上達を促してくれる。
手を挙げること。
声を上げ、自分で話す機会を作ってしまうこと。
「誰かやりたい人は?」
という聞かれたら、機会を逃さない。
リスクを取るのだ。
Improv.の演習は、とても気楽。
子どもの頃の遊んでいる時間を思い出す。
失敗を恐れることが少なくなり、いつのまにか反射的に前に出られる自分、大きな表現をする自分を発見する。
(続く)