新英語よみもの千夜一夜第4夜〜Absolutely True Diary of a Part-Time Indian

The Absolutely True Diary of a Part-Time Indian

Absolutely True Diary of a Part-Time Indian

●データ:
 (文)Sherman Alexie 
 (出版社)Little Brown   (発行年)2009(ISBN)9780316013697

●この本について:
 ワシントン州のIndian reservation (居留地)出身の先住民作家による、自伝的小説である。National Book Award受賞作であり、ペーパー版だけでもNYタイムズのリスト登場が32週突破のベストセラーだ。先住民のティーンの目から見た居留地の日々が日記風に綴られるが、過酷な現実には驚かされ、自虐的ギャグには笑わされる。興に乗って途中でやめられず「足読」、歩きながらも読んだ。
 300以上もある居留地は、アメリカ国内の「外国」だ。それも「発展途上」とは思えない貧国のよう。これは多くのアメリカ人にも、文化衝撃だろう。独自の文化をなくし夢が持てず、アルコールとギャンブルに依存。自殺と失業率が高く寿命も短い。社会保護にほぼ頼りきった貧困生活だ。そのなかで、希望を捨てず居留地外の白人高校に通い、学業とバスケに励み、広い世界に羽ばたく主人公は、作者自身の人生に重なっている。
 コメディアンだったこともある作者のユーモアと、So, okay, I’ll tell you the worst thing. といった口語的文体が、読書の潤滑油になる。高校生っぽいイラストも、absolutely true diaryの雰囲気を盛り上げる。なるほど、多くに読まれているには、わけがあるものだ。
 描かれた詳細、たとえばオンボロ車に張られたステッカー、 My Other Car Is A BMWなど、おもしろうてやがて悲しき……現実の一例かな(字あまり)。 

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