英語えほん千夜一夜第13夜~Rules of Summer

Rules of Summer
Rules of Summer文・絵Shaun Tan 9780545639125
ダリのような、シュールな画風。一枚に不思議がいっぱい詰まっている。ちょっと子どもだけでは、もったいない芸術作品。

$18.99  目安のレベル:中級
日本の風土に馴染んだ読者には、どこか異国情緒を感じる夏の風景だ。舞台はオーストラリア、主にメルボルン近郊という。作者が、本書の主人公の年頃に暮らした街でもある。抜けるように青く、広々とした空の下、乾いた空気とちょっと赤っぽい大地。少年時代から空想好きだった作者が、当時の心で描いたような油彩のイラストとそれが語る物語は、不可思議だ。
「This is what I learned last summer(これは、ぼくが去年の夏に学んだことだ):」。登場する兄弟の、弟の語りで物語は始まる。その夏、自分の些細な過ちのせいで、次々と不思議なことが起こる。そのひとつひとつに教訓として、掟「Rules of Summer」が定められる。このrulesを守れば、一連の謎めいたことが伏線となって起こった背筋が寒くなる出来事を、二度と経験することはないだろう…。
掟その1「Never leave a red sock on the clothesline(物干に、赤い靴下片方を干したままにするな)」。ここから全てが始まった。物干のある裏庭。少年たちの家だろう。赤くて小さな靴下の片方が物干ロープにぽつんと残っている。その庭の向こうに、無機的な工場の建物が見える。裏庭と工場の間の小道をふさぐようにうずくまっているのは、全身赤毛で巨大なウサギ。赤い大きな目が見ているのは例の靴下…。またある時、退屈まぎれにナメクジを踏みつけたとたん、黒く渦巻く竜巻が接近!掟は「Never step on a snail(ナメクジを踏むな)」。
パレードに遅れたことや、ゲームの審判に文句を言ったことで、「不思議」が加速する。ここで「Never be late for a parade」「Never argue with an umpire」の掟が加わる。そして次第に、不安の影も濃くなる。大切なパスワードを忘れたこと、兄に口答えして喧嘩になったこと、そしてその喧嘩に負けたこと、おまけに、すぐに謝らなかったこと、これらひとつひとつが原因して、大変なことに…。
見開き右に絵、左に一文のみ。秘密めいた絵が、読者の想像をかきたてる。危機を脱した兄弟の、最後の教訓は「Never miss the last day of summer(夏の最終日を逃すな)」。ちゃんと夏を満喫して「That’s it(それでおしまい)」。ほっ。

音読のヒント 1.起こってしまった事件の怖さを噛みしめながら、各ruleは自らに言い聞かせるように。
2. 「Never wait for an apology(謝罪はすぐに).」で絶望的な声。そして息詰まる展開を見る間を空け、「Always bring bolt cutters(いつもボルト・カッターを携えろ). 」以降は、希望を込めた明るい声。