英語えほん千夜一夜第12夜~Joseph Had a Little Overcoat

Joseph Had a Little Overcoat (Caldecott Medal Book)

ミユージカルにもなっているユダヤ系の人々のわらべ歌が原作。

Joseph Had a Little Overcoat 文・絵Simms Taback ISBN: 9780670878550 , $16.99 レクサイル指数: 推定650L 目安のレベル:中級

yidish(イディッシュ語)のわらべ歌をもとにした、米国生まれのユダヤ系作家による1冊だ。ひとことで言えば『屋根の上のバイオリン弾き(Fiddler on the Roof)』の世界。『Fiddler…』は、1964年のミュージカルで有名になったが、原作は19世紀末のイディッシュ語を使うユダヤ教徒の生活を描いた、1894年出版の小説『Tevye the Milkman』だ。
この絵本の主人公は、いかにもユダヤ人といった風貌のジョセフだ。詳細が描き込まれた絵をよく見ていくと、部屋に前述の小説の記事らしきものが貼ってあり、時代は小説の出版当時らしい。郵便の宛先を見て、ポーランド在住とわかる。畑仕事や農場の動物の世話をする様子から、田舎に住む農夫であること、また姉(妹?)のいる、都会の様子もわかるなど情報満載だ。
縫製技術に優れるといわれたユダヤ系らしく、ジョセフはとても器用である。くたびれたオーバーを、まず上着に仕立て直して祭りに着ていく。上着がくたびれると、今度はチョッキにして甥の結婚式に。チョッキがくたびれるとスカーフに、それからネクタイに…。順々に仕立て直したものを身につけて、様々なユダヤ人らしい晴れの舞台に出かける。オーバーが次々と姿を変え、場を変え活躍するのを見ていく楽しさが、ちょっと先が覗けるdie-cut(形を切り抜いた)ページで、さらに増幅される。
さて、そのオーバー。どんどん仕立て直されて、最後には何に?小さく、小さくなって、あるものになるが、それをジョセフはなくしてしまう。「Now he had nothing.」何もなくなって、さあどうしよう?ここからは、作者の創作だ。幼い読者に伝えたいことでもあるのだろう。「Joseph made a book about it.(そのことを本にかいた)」。 そして続ける、「you can always make something out of nothing(何もないところからいつだって、何かを作れるんだよ)」。
小さい子には、die-cutsから覗いていく1着のオーバーの転生が、大人にはエキゾチックなユダヤ文化が楽しめる。巻末には、「下敷き」になったわらべ歌の英訳『I Had a Little Overcoat』が、楽譜付きで掲載されている。そして著者近影。あれれ、ジョセフと瓜二つ?!

音読のヒント
1. 一見難しそうだが、多くの部分は繰り返し。繰り返される「Joseph had a little (  ). It got old and worn. So he made a ( )out of it.」に慣れよう。後は括弧内に、overcoat, vest,…と順に入れればいい。
2. 初級者なら、読みはハードルを下げて、括弧部分だけでも。上級者が他部分を読み、両者で読み合う。