Yes, And…で進める〜リードアラウド認定講座第4回報告その1

今回は、少しゆったりめに模擬指導時間をとり、リードアラウドらしさのひとつ、双方向型指導の演習をしっかりした。

『You Are (Not) Small』の表紙を使った導入部分。
You Are (Not) Small

多くの先生と呼ばれる種類の人々の共通するクセは、生徒にすぐ説明をしてしまうこと。

考えさせる間もなく、先生自身が答えを言ってしまうというパターン。

本講座の演習で、前に立ったみなさんに、何度も指摘した。

「また説明している」「先生が全部、言っちゃった」
と、その場で「現行犯」を止めたので、それぞれが自分でも犯してしまうことなのだと認識できただろう。

観衆や生徒に「なぜ?」「どうなっている?」と、疑問形で尋ねるところを、「〜ですね」「〜します」と、対話を閉じてしまう。

以前も伝えた秘伝は、コレ。

たとえば、今回の課題書を例にとってみる。

「登場した動物は、大きいのかな、小さいのかな?」
と、尋ねて考えさせたいのに、
「これは、大きいね」
といい始めてしまったら…
「これは、大きい?」と、急遽、語尾を上げて疑問形にする手がある。

または
「これは、大きい、かな?」
と、かな?を急いでくっつける。

なかでも一番いい発問は、「大きさは、どうかな?」と、全部を考えさせる疑問文だ。

さて、何かしら疑問文で、生徒に問いかけが出来たあとに、また難関がある。

どう、生徒の答えに応えるか。

最悪なのは、意図的ではないにしても、無視すること。
生徒のだれかが答えたのに、聞いていない。聞こえない。何もそれに対して言わない。

どんなに生徒が、がっかりするか。
想像力を発揮して欲しい。

聞き漏らす先生は、目配りも足りていないからかもしれない。
生徒のいる全方向に、視野は広げているだろうか。

ひとまず、生徒の答えが聞こえたとしよう。
応え方は?
まず、即座に反応すること。
言葉がすぐに出なくても、目をぱっと輝かすとか、笑顔を作る。

演習でも、この反応が遅いまたは、ないことがあり、指摘することがあった。
反射的反応を、心がけること。

次に応える言葉だ。
Yes, and である。

Yesにあたる言葉を、まず発する。
そう!
いいね!
うん!
こんな言葉だ。

これは、何かしら答えた生徒への、ご褒美だ。
そのご褒美の言葉が、生徒にとってどんなに誇らしいか。
大切に発したい。

それから、andである。
ここに、指導者として秘した「教え」をすべりこますのだ。

先ほどの例にもどろう。
「(課題書の)登場者、この子の大きさは?」
の発問に、生徒が
「大きい」
と答えたとする。

表紙の絵では大きく見えるが、本文中で、実は大きくないことがわかる。
指導者として、Yes, andでどう応えるか。

「そうだね、大きく見えるね。他のみんなはどう?…大きい?そうだよね。じゃ、本の中でどんなかも、見ていこうか」

と、先に進める。andで、本文に入らせる。

もうひとつ、違う例も挙げておこう。
書店でのリードアラウドで、『Three Little Kittens』をやったときのこと。
Three Little Kittens [With CD]
最終場面で、ネコたちが野性的な顔で、
「I smell a rat!」
と言ったところ。

発問は、
「なんでこんな顔?」
読んであげても、smellが分からないし、ratも知らない。

「うん(Yes)、絵だけじゃわからないよね。だから(and) 先生が感じを出して読むね」
andで、分かりにくいものに、新たな情報を加える。

野性的に臭いをかぐネコの感じで、そして、ratという語を強調して読み聞かせたあとで、また尋ねる。

「何て、言っているみたいだった?」
子どもたちは「何か臭ったって感じ」
「そう、その臭いをかいで、ネコたちはどんな気持ち?」

「嬉しそう」

「そうだね、ネコたちがもし野生で、お腹が空いていたら、何の臭いがして嬉しいと思うかな?」

ここで、子どもは思わぬことを言う。
「魚」

さあ、先生はどうする?
これにも、Yes, andで応えられるか?

先生は、自分の想定した答えと違うことを子どもが言った場合こそ、やった!と喜びたい。

「そう!海の近いところに住んでいるネコはそうだね。
それじゃ、ここはどうだろう、海?」

海が近くないことを確認後、
「陸にいるネコの好物といえば…」とヒントをだす。

すると、お待ちかねの
「ネズミ!」
の声。

「そうです。じゃ、ネズミって英語でなんて言うんだろう?」

「ミッキー…」「マウスだ!」
の声。

「そうそう、よく分かったね!それじゃ、さっきのところ、みんなで読んでみようか。
I smell a rat!」
「あれ?ネズミが臭うぞって、でもマウスって(言葉)今、読んだかな?」

「読まなかった…」
ここまで、言葉を尽くして、いよいよ最後。新情報を与える。

「マウスの親戚なんだけど、ちょっと大きいのが、rat。ミッキーマウスよりこれくらい大きい」など、大きさを示したり、印象深い情報が付け加えられるといい。

こうして、ずっと、発問とYes, and で繋いで行くのが、リードアラウドらしい運び方。

模擬授業では、いかに先生たるものは、説明好きかを自覚できたのでは?
そして、いかにYesをいい忘れがちか、そして、andで、繋げるのがとっさに難しいかが、わかっていただけたかな。

(つづく)

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