英語えほん千夜一夜〜第9夜『Come On, Rain!』

少々、雨不足が心配な関東地方。
ちょっと「雨乞い」でも?
雨よ降れ!

Come On, Rain!
Come On, Rain!
文 Karen Hesse 絵 Jon J Muth
AD780L 上級

梅雨どきの日本では、「Come on, rain(雨、ふっておいでよ)!」という気分じゃないが、本書を手にニューヨークらしき大都会の、日照り続きの夏を思い描いてみたい。
人も植物もぐったり、cats pant(ネコは、はあはあ喘いでいる)。よほどの暑さだ。影の長さからすると昼過ぎだろうか。phonograph(蓄音機)が置かれた、薄暗く洞穴のような部屋。その窓から、まるでレコードが暑さで針に張り付いてしまったように、同じ曲が流れている…。
I am sizzling like a hot potato(焼きいもみたいにジュージューいっている)と嘆き、涼をよぶ雨を待ちわびる主人公は、小枝のようで愛らしいアフリカ系の少女。May I put on my bathing suit? 水着に着替えたいとお願いをするが、日焼けを心配するママの答えは、Absolutely not(絶対ダメ)。恨めし気に空を見上げると、あれ? And that’s when I see it coming(雨が来るのを見たのはその時だ)。よしよし、Come on, rain!
それからは大忙し。ママをアイスティーで懐柔し、友だちをだしに、水着になるのに成功!仲良し4人が全員水着姿で雨雲の下に集合すると…。rain comes。ついに来た。The first drops plot down big, making dust dance all around us.乾き切った大地に最初に落ちて来た大きな雨粒たち。それらの立てる土ぼこりが、少女たちの周りでダンスをする。詩的で印象的な場面だ。アフリカ系、白人系、東洋系の母娘が、雨のなかで歓喜の踊りを始めるのに時間はかからなかった。…裸足になって、窓からの音楽に合わせて踊って、笑う。The rain has made us new(雨でわたしたちは生まれ変わった)。
雨が上がった澄んだ空の向こう、淡い水彩で浮かび上がるのは、マンハッタンの摩天楼だろうか。そのお膝元、少女の住むこのあたり、雨が降らないとちょっと埃っぽいが、肌の色の違う隣人同士が親密な、こんなアメリカもいいなあ。

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