久しぶりに参加した遠方のMさん。
ブランクを感じさせない、はつらつとし滑らかに伸びる声だ。
「姿勢を正し、深い呼吸をして、声を出すだけで、本当に気持ちがよくなります」
つくづくと、本人が言う。
そして
「自分だけ気持ちよくなっていいでしょうか」
とも。
答えは、「いいでしょう」だ。
これで、またまた確認した。
リードアラウドの、姿勢をふくめた「声作り」は、聞いてくれる観客や生徒へのプロとしての準備として、必要不可欠なだけでなく、「役得」があるということ。
そう、深い呼吸のせいか、自分も気持ちよくなること。
また、声や身体は変えられるということを、Mさんの存在が証明してくれた。
5年くらい前だろうか、リードアラウドを始めたMさん。
その頃のか細い声を、わたしはよく覚えている。
頑張って大きくすると、喉を痛めそうになる。
…喉の奥からころがすように滑らかに出す今の声との差は、歴然としている。
さて、第2回目。
初回のワークショップは、導入だったのでどうしても概論が多くなり、みなさんが身体を実際に使うワークは控え目になった。
その分、今回は、身体を使う演習を心して多く盛り込んだ。
発声。
chest-middle-head それぞれのvoiceを、声帯の開きを意識して、いらないところ(胃の上部など)を緊張させないよう、顎を上げないよう、演習。
丸く開いた喉の奥からの声、通る声が部屋に響き渡った。
今回の声に関するトピックスは、高ー中ー低音というpitchという要素がひとつ。
声域を広げるという課題だ。
音域の違う声を出せるようになることで、課題書『Shh! We have a plan』だったら、登場者たちの声を読み分けやすくなる。
声のpitch表現が豊かになり読み分けがはっきりすると、どういう効果があるのか?
それは、てきめんに聞いている子どもたちにとって、話がつかみやすくなる、ということ。
いわゆるキャラ立ちもするので、物語が急に立体的に聞こえてくる(「見えてくる」)ようになる、とても大切な要素だ。
行ったいくつかの演習は、朗読の直前にwarm-upとしてやっても、ある程度の即効力があるので、これからも覚えていて欲しい。
もうひとつの、声にかかわる今回のトピックは、聞こえる「小さな声」ーstage whisperを出すこと。
囁き声を、ほんとうに囁いても、聴衆には聞こえない。
囁き声だと分からせながら、大きな場所でも聴衆に聞こえるようする演習だ。
部屋を歩き回りながら、アイコンタクトで相手を定めて「Shh」または「Go」と呼びかける(読む)。
それを次々、他の相手に繋げて行く。
よく聞こえるwhisperとともに、広がっていったのは、みなさんの笑顔。
見ていても楽しい時間だったが、それだけでなく、課題だった力強いwhisperにだいぶ近づいたようだった。