ずいぶんと読む力、表現力がついてきた前年度から継続の親子クラス。
新年度は新しい仲間も入って、さらにエネルギッシュ。
打ち解けていて、傑作なコメントがばんばん出てくる。
初日、リードアラウド課題書は『Cookie’s Week』。
打ち解けているクラスの場合、新しい本を読むときにだいたい決まって聞くことがある。
「どんな話かな?」
クラスを待ちきれずに家で読んでくる子どもも、その場でパラパラ見た子どもも、活発に発言する。
本書は、大人風に退屈な言い方をすれば、いたずらな子ネコが月曜から土曜までにしでかしたいたずらを描いた話。
何本も手が挙がった。
その顔を見て、すぐに言わんとすることがわかった…。
「いい子のネコの話!」
あんなこと、こんなこと、やったことを正確に挙げられる。
そして、「そういうことをする、おもしろいネコの話」。
とひとり。
うん、うん。
子どもたちの間に連帯感がある。
「そうだね、こういう子がいたら退屈しないで楽しくなっちゃうね」
リードアラウド指導者の子どもへの受答えは、このようにいつも「Yes, and」で繋ぎたい。
ディスカッションで、みんなが嬉しそうだ。
そして、大人たちも「エエエッ?」とは言ったが、顔が緩んでいる。
とてもいい滑り出しだった。
それから読み進む。
何曜日だったか、このCookieが、台所のdrawer(引き出し)の中に入ってしまう。
Cookieがひっくり返したりめちゃめちゃにする引き出しのなかのもとたちが、挙げられる。
Pots, dishes そして pans…。
そこで、ゲラゲラ。
クラスが子どもの笑いに包まれた。
それまで比較的おとなしくしていた最年少の子どもも、お腹をぴくぴくさせて笑っている。
なんで?
ここで、リードアラウド指導者は、ピンとこないといけない。
Pans だ。
「みんな、パンツだと思ったのね?」
アハハ。
うん、うんと頷くみんな。
さあこのあと、どう引き取るべきか。
「パンツは、pants(ts:舌先が前歯の後ろにつく感じ)。こっち、底の浅いなべは、pans(zの音:舌のが上顎に触れる感じ)!」
発音練習への発展だ。
子どもたちの、笑いに隠された疑問に答えておきたい。
読み分けて聞かせても、どうも最初は聞き分けられなかった。
板書して、どっちを言ったのか、何度かクイズ。
子どもたちにも、出題者になってもらい、しばし、「英語耳」演習。
出題者になるのも楽しいらしい。
何度かで正解率が上がって、どうやら納得。
おふざけ笑いも、学習に繋がってめでたしめでたし。
これなどは、指導者の想定外のウケだった。
同時に、分かりにくいところでもあった。
こんな場面で、臨機応変が、やはりとても大切になる。
逆に想定していた発音の「難しそうなもの」は、完全にはずれ。
どろんこにしてしまう場面で、その泥、dirtの発音だ。
難しいかも、と丁寧な練習を準備していたら、子どもはだれも引っかからず、perfectな発音…。
ええい!
「大人には難しいんだよ」と、大人たちにデモンストレーションしてもらった。
でも、どうだろう。
子どもたちの発音で、わかってしまったらしい…。
大人も、みんな澄ましてperfectな発音だ!
準備している「ツボ」が、こういうふうにスルーされることもある。