英語絵本の楽しませ方、こんな過程を経て上手くなる〜2015年度リードアラウド・ワークショップ発表会2016.1報告その2

先日、2015年度リードアラウド・ワークショップの締めくくりの発表会を終え、改めて思ったことがある。

それは…
このワークショップで、参加者みなさんのリードアラウド指導者としての技能、つまり英語絵本で知的に子どもたちを楽しませる技能は、確実に上がるということ。

みなさんにとっても、主宰者にとっても、これは朗報!
嬉しい。

そしてもうひとつ、その技能の上達には段階があるということも、見えた。
(発表会の感想で、Mさんも同様のことを発言していた)。

自分はもうこれ以上、上達しないと思ったり壁にぶちあたったとき、ちょうど上達途上の「踊り場」にいるため、そこより上がないように思えるとき、すぐ先に上がる階段が続いているのを知っていれば、頑張れる。

目標が見えることで、頑張れる。

ところで、その上達の過程、段階とは、こんな感じだ。
2015年度の参加者をあてはめつつ、解説してみる。

第1段階。
本ワークショップでスタートに立つ人は、たいがい絵本の読み方で2タイプに分けられる。
無感情で意味を考えていないかのようなスラスラ読み。(アンドロイドまたは先生タイプ)
もうひとつは、本の内容とは無関係に「ぶりっ子」など、型にはまったワンパターン読み。

どちらのタイプの人でも、ワークショップでの揺さぶりを受け、3回目あたりから、それぞれのパターンの牙城が崩れ始める。

「そこがいい!」と、講評で指摘されても、「ど、どれ?」と上手く出来た実感もなく、まぐれ的。
方向性に迷いがある。

M.I.さん。
3回参加し、発表会ではアンドロイド・タイプの壁は壊れ始めたようだ。
ナレーションがだいぶ人間らしくなった!(有働アナくらい!?)
その感じ、忘れずに精進を。

第2段階。
ところどころ感情の通った表現があるが、全体的な先生臭さ(アンドロイド感?)がぬけない。
または、ときに、方向違いの思い込みから、自己陶酔型になることも。
自分の殻が壁になっているが、一度ならず殻から出て解放的な表現をした経験があるので、今後、その経験の頻度が増える。

Nさん、Kさん。
「ウケて快感を覚えた」というのは、殻が破けた兆し。
頭は一度覚えた快感をまた求めるので、それに従いながら、声や姿勢、variablesなど、しばらく身体をしっかり訓練する。
だいぶ「ウケ」を狙えるようになって第3段階に近いKさんは、より大胆にする時期。

この段階では、じっくり読解を深めてイメージをふくらませる時間もとりたい。

第3段階。
「これだ!」と、自分の解放された表現をはっきり意識して、確信犯的にできるようになったところ。
この段階では、いろいろなキャラ作りの練習が役立つ。

頭で思っているのと、実際に自分が身体で表すのに、まだギャップがある。
録音を聞いて、客観的に自分の芸を見直すことが、次の段階への飛躍をもたらす。

Yさん、Hさん。
自分たちで狙ったとおり、かなりウケていた!

variablesの練習が身についてきたYさん、滑舌もよく表現も大きくなった。
キャラ作りも、思い切りよく、見るものを楽しませる。

Hさんの変化はドラマチック!
真面目さやクールな雰囲気に、今やユーモアも滲み出る。
Kさんといっしょの『Foot Book』は、抜群だった。

即興性を身に付け、キャラのバラエティを充実させる方向へ。

第4段階。
抜きん出るため、芸をさらに究める段階。
「踊り場」の時期が長かったり、一進一退だったりもする。

大切なのは、自分の芸を客観的にみられる力を磨くこと。
この時期に、広く、いい芸、パフォーマンスを見たり聞いたりすると、ためになる。

「今の出来でいい」と思ったら、そこでおしまい。
自分に厳しくする段階でもある。

Rさん、基本や基礎に戻ってみると「踊り場」を抜けるかも。パターン化で省エネにするには、まだ早い。
指導に楽しい空気を持ってくるのはお見事。
目標はタイムマネージメント。

M.Y.さん、講評などの目が鋭い。とても客観的で的確。大人指導ができそうです。でも、子ども向けの講評力、対応力もつけたいところ。
他の追従を許さぬ、爆発的な表現に加えて、抑制したものの深化がみたい。

Hさん。
Mさんとは逆に、抑制した表現が磨かれた。
そこで、「爆発」的表現を、H流で工夫すると芸域が広がる。
また子どもとのやりとりで、リラックスした丁々発止の場面がみたい。

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