それは、指導する側にとって、そしてもちろん参加者の子どもたちにとっても、楽しいのが理想だ。
先日は『It’s Christmas, David!』を挟んでの神保町でのリードアラウド、10数人の子どもとの対話が、またまた素晴らしかった。(様子はこちら)
いたずらっ子のDavidが、クリスマスのディナーの席で、いろいろたしなめられる場面。
「Don’t reach!」
着席している人の前で手を伸ばして、テーブルに乗った遠くのものを取ろうとしてはいけない、と注意を促すせりふだ。
これを読む前に、
U字型に並んだ椅子にすわる子どもたちの真ん中に立って、こう尋ねた。
「ここに大きなテーブルがあって、みんなはその前に座っているとする。
テーブルの真ん中に、たとえばマヨネーズが1つあって、それを使いたい。
隅にすわっている人だったら、どうする?」
当然、「手を伸ばして取る」と答えるだろうと思っていた。
そこで、Don’t reach! を使って、この言い方を紹介する予定だった。
だが、子どもたちは違った。
「真ん中の人がとって、どんどんこうして回してあげる」
隣に渡す動作をしながら、答える子。
そう言おうと思ったとばかりに、頷く子。
そうだ、そうだ、と小さな頭が前後に揺れる。
1本のマヨネーズが、真ん中の子どもから次々手渡され、端っこの子どもの手に渡る…。
こびとたちが流れ作業をする、サンタのトイショップの図みたい。
いや〜、そうだよね。
そう、君たちが正しい。
大人の常識的な「誤答」に、子どもはまっとうな、正しい答えを持っている。
「腕のすごく長い人が、隅から手を伸ばして取ろうとしたら?」
などと、どうしてもDon’t reach! を使いたいオバサンは、シュールな質問をして、どうにか進めたのだった。
もうひとつ、サンタが夜にやって来て、プレゼントを置くという展開の場面では、こんな対話があった。
「だれか、サンタの正体を見た人、本当に来るところを見た人はいる?」と質問した。
するとひとりは
「前、がんばって見張っていたけど、だめだった…」。
「何時まで見張ったの?」
続けて尋ねると、
「10時半!」
こう誇らし気に言う男の子に、他の子たちは、「ふう〜ん(ちょっと早すぎじゃない)」の顔。
もうひとりが声をあげた。
「あ、お父さんは『見たことある』って言ってた!」
子どもたちは、「ほー」とちょっとどよめき、あたりは「うらやましい」の空気。
子どもをとりまく大人の空気は、子どもたちの魅力にとろ〜ん。
Davidがイブの晩に、「サンタからのプレゼントは a lump of coal(石炭1かけ)だった」という悪夢を見る場面。
このページを開けて、石炭をもらって半ベソのDavidを見た子どもたちの顔ときたら!
本気で、しょぼん、とする子どもも。
しかしそこで、絵本を「予習」してきた子や、「ここで終わりじゃない。まだページがある!」と気付いた子が、次のページを見るよう周囲を促した。
「なんだ、夢だったんだ」と、絵本の進行とともに安堵するみんな…。
これで、最終ページの「It’s Christmas!」のmerryな感じが、ほんとに自然になった。
Yeah!
やっぱり、リードアラウドは楽しい。