たくさんの発見があった2015年度のワークショップ。
特に記しておきたいのは、「キャラの立った」長い文の表現が、飛躍的にうまくなる方法について。
第9回目の課題書だった『The Day Crayons Quit』は、これまでの課題書の中で恐らく一番文が長い。
12色のクレヨンが、それぞれクレヨンの持ち主の少年に、抗議の手紙を書く、という設定。
12色のクレヨンが、実に十人十色で、そのそれぞれをキャラを演じるように読むことで、この本の楽しさが醸し出される。
この本を楽しく表現する読み方を、グループのそれぞれが、より上手くなるにはどうするか。
シアターゲームの、Give & Take が効いた!
この日、うまくいった方法はこうだ。
1. まず、ウォームアップ。
参加者は立ち、ランダムに歩き回る。そこで、コーチ(わたし)が、いろいろなemotions、たとえばangryとか、excitedとか、happyとか挙げるたびに、表情や歩きぶり、手の動きなど身体全体で、どの気持ちを表しながら歩き回る。
2. 12色のクレヨンの性格をあらかじめ分析しておき、コーチが「Green」など1色あげ、参加者はそのクレヨンになったつもりで歩き、適当な相手と会話する。
その間、コーチは「もっとおおぶりに」「顔つきから変えて」などサイドコーチングしながら、キャラクターを本当に肉体をもった登場者のように形作る。
3. 本文のなかから、ある1色の文を挙げ、give & takeの方法で、だれか1人が読み始める。それを、無理のない呼吸で他の人がtakeする。重なったら、どちらかがtakeし、もういっぽうがgiveして、滑らかに交代して続ける。
同じキャラクターを、1通の手紙が終わるまで、数人で引き継ぐ。
できるのかな、と思ったが、あら不思議。
いつもシアターゲームの推奨者たちが書いたり発言したりしているように、「有機的に」グループの共有というか、アンサンブルができるもんである。
そして、アンサンブルでキャラを作る演習を12色分したあとの、個々の表現のよいこと!
全体で共有したものが、身体に入るのだろうか。
滲みる、という感覚かもしれない。
思い込みでガチガチだった表現の鎧も、このシアターゲームのあとには、脱ぎ去られた感じ。
ワークショップの長年の懸案だったのが
表現のくせをどうとるか。
グループ形式で、参加者ひとりひとりの表現をどう磨くか。
このふたつ。
これらに、どうやら道が見えたと思えた、素晴らしいワークショップだった。
そして、こんな機会を持てたのは、参加者みなさんの目標の高さと努力あってのこと。
みなさんと一緒の時間を持てて、本当に幸せもの…。
1月9日は発表会。
リードアラウドに興味のある方、リードアラウド・ワークショップに興味のある方、どうぞご観覧下さい。
要予約:こちらまで