指導者向けリードアラウド・ワークショップには、朗読力アップのほかに、もう1本の柱、指導力アップがある。
第8回ワークショップ報告その2、指導力養成編は以下のとおり。
リードアラウドの指導は、双方向型だ。
生徒をリラックスさせたうえ、問いかけて、その答え(応え)を受けて進めていくのが基本。
その際、生徒の受答えを肯定し、それに新たな知識や情報を与えるという、「Yes, and」というシアターゲームの方法を用いる。
さて課題書は『Puff, the Magic Dragon』。
これを7箇所で区切り、7人が手分けをして模擬指導をした。
そこで、気付いたのは…
その1:指導者たるもの、説明がとても好きだということ。
リードアラウドのモットーは、説明せずに伝える。
explainではなく、tellする、と頭ではわかっているはずなのに、説明を始めてしまうのは、先生稼業の業か。
なぜか、自分が説明している、ということになかなか気付けないものらしい。
「今、説明していますよね?」
何度も、指摘する場面が、今回もあった。
説明したいことがあったら、それを発問にしよう。
たとえば課題書のテーマに触れる場面で、
「子どもはいつまでも子どもでいられないから〜」と、説明し始めない!
「みんなは、ずっと子どもでいるのかな?」と、疑問文にして尋ねてみよう。
問題提起でもいい。
子どもに考えさせ、答えを待つ。
「ずっと子どもでなんかいないよ」と、子どもから声が上がったら、
「そうだね。じゃ、dragonはどうだと思う?」などと、つなげていく。
dragonの顔をたどらせてもいい。
始めの方の顔も、少年が大人になって登場する最後の方の顔も、変わらずあどけない。
「ずっと、子どもみたい」ーといった発見を子どもにさせよう。
これが「Yes, and」の方法であり、リードアラウドの指導も同様だ。
そして、もうひとつ、気付いたこと。
その2:ついつい子どもの応えに、「but」を言ってしまうということ。
「Yes」までは言いやすいようだが、そのあとがいけない。
「but」になってしまうことが多い。
「それと、これもだね」
「それに、こんなこともあるよ」
「それから、こうなるかもね」
など、「and」という接続詞を「そして」以外にも、いろいろ変えたものを言い慣れておくと、あとの文が続けやすい。
このふたつの問題点を、なるべく1回の指導時に減らすこと。
まずは、自分がこのふたつの問題を抱えていることを自覚しよう。
強く自覚することで、徐々に問題は解決されるはず。
ワークショップが、その自覚する場になればと思う。