リードアラウドは、一期一会やそれに近いものも少なくない。
子どもは、初めて会った大人(わたしたち)と、初めてかもしれない英語の絵本を
一緒に読もうと言われる。
でも、そうそうすぐにリラックスして始められない。
リラックスさせることが、リードアラウド成功の秘訣だと、近年はつくづく思うようになった。
だからシアターゲームなのだ。
これは、これは人々を短時間でリラックスさせる魔力を持つ。
先日のシアターゲーム・ワークショップでも、力を入れたのがicebreaker games とwarm-up gamesだった。
日本では特に多いが、他者と目を合わせない人々。
これはコミュニケーションがiceの状態だ。
icebreakersは、この氷を溶かす。
アイコンタクトを取る簡単なゲームがいくつも用意されていて、そのいくつかをこの日、演習した。
参加者同士はほぼ初対面だが、ゲームを続けて行くうちに、iceがbreakしていくのを実感できたのだろう、表情が和む。
笑い声が、開放的になる。
発言が多くなる。
実に簡単な、遊びのようなゲームで、それも早ければ5~10分で、リラックスした環境、つまり頭に新しいことが入って行きやすい環境ができる。
リードアラウドをしてきて、もうひとつの共通する子どもたちの様子に、エネルギー不足というのがある。
端的に現れるのが、声。
それが、とても小さいのだ。
声量は、表現の基本だ。
表現を指導するのに、聞こえないような声では始まらない。
今回のシアターゲームは、このエネルギーを出すゲームにも力を入れた。
Screamというゲームでは、実際に叫び声を瞬間的に上げる。
現代生活、特に日本人は、叫び声のような動物的声を上げる機会が稀だ。
無意識に押さえているものを、ゲームで吐き出す。
みなさん、愉快な気持ちになってくるのが実感できたのではないだろうか。
リードアラウドでは子どもたちに表現も教えるが、声に感情を乗せるというのに慣れていない子どもも少なくない。
これも日本人的なことの1つかもしれない。
ということで、icebreakerやwarm-upでリラックスしたあとに、emotionsを出すシアターゲームも、重視している。
Copy & Pasteゲームでは、感情をともなった言い方を、どんどん真似して伝えて行く。
英語の先生方は慣れたものだが、これは平坦な読み方をする多くの子どもにとても有効だ。
言葉がコミュニケーションの「乗り物」だと、気付かせる。
言葉を身体化する、言うのではなく伝える力を上げるゲームも大切だ。
指導者自身の指導力アップにも役立つし、子ども自身のためになる。
Presentsというゲームでは、とっさにプレゼントを考えそれを言葉ではなく他者に伝える。
発想力とそのスピードの訓練と、伝える力の演習だ。
訓練、演習とか言うが、遊んでいる感じ。
これをやることには、初対面同士ながら、げらげら笑い合う仲になったのも素晴らしい。
シアターゲームの「副作用」のひとつは、集団のアンサンブルを親密にするというもの。これも、参加者は実感できたのではないだろうか。