「氷」がとけた!? 〜シアターゲームでとける、熱くなる

子どもたちが英語に親しめるよう、英語絵本を楽しい表現で読むリードアラウドを、いろいろな場所でおこなっている。
いつも、3歳くらいからの子どもと接している。
ときどき、質問に答えなかったり、声が小さかったり、付添いの大人を通して発言したりする、ちょっと温度が低い子どもがいる。
これは大人でもよくある、人見知りや初対面などからくる緊張で、つまり硬くなっているのだ。

こういった緊張をどう解くか。
英語では、こうした緊張を解くことを「icebreaking」という。
アメリカなどの教育現場で発展したシアターゲームにも、「icebreaker games」と呼ばれるものがある。
このゲーム、実によく効く……。
最近のスクールでの成功例を報告する。

アイコンタクトをとって隣と同時にclapするという、それだけのゲームだ。
最初の「魔法」がかかる。
お互いの目を見つめるという行為がコミュニケーションの始まりなんだ、と実感できる。
もじもじしていたり、そっぽを向いていたりした生徒が、「なに?なに?」とこっちを見て、探究心で目を輝かせる。
ポイントは簡単なこと。
clapを一回ずつで、ひとまわり。
逆まわりで一回。
早まわりでも一回。
英語のアクティビティらしく、clapに「yes」、次のclap に「you」と、台詞を入れた。

すっかりクラスに溶け込んでいる生徒は、大喜びで参加する。
その歓声は、まだiceが溶けていない生徒の耳にも届いていた。
ちらっと視線がいった。
手を添えられて素直にclapすると、「簡単だった」と安堵の表情が浮かんだ。

次のゲームは「Copy & Paste」。
この日のテキストの絵本から擬声語をとりあげた。
たとえば、スイカを「ぴちゃぴちゃ」食べているような動作を付けながら、「chomp chomp chomp」と言う。
隣の人はそれを真似して、次の人に伝える。これだけ。
みんなと慣れ親しみ合いながら、「豊かな表現」「表現のいろいろ」を学べるゲームだ。
言い方や動作が面白いほど、icebreakが進んで行く。

隣に座っている真面目で毅然としたお父さんに、はちゃめちゃな「chomp chomp chomp」の言い方と動作を真似させようとハッスルするTくん。
Tくんの熱は、お父さんのiceまで溶かしてくれた。
ゲームの魔法のひとつは伝染性。
こんな風に、参加者の歓声や、おかしな声や動作が伝わって、凍っている人たちをどんどん溶かしていく。

この日ついに、いつもコチコチだったひとりの生徒にも、すごくいい笑顔が浮かんだ。
「つい笑っちゃった!」という顔。
そして、声も聞いたぞ!
icebreakに成功!?

英語指導者のためのシアターゲーム・ワークショップ

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