即興のスリルを楽しむ〜楽しい先生になる「シアターゲーム・ワークショップ」

「インプロ(improvisation)」という演劇スクール発祥の訓練がある。
またの名を「シアターゲーム」という。
近年、教育現場でも取り入れられている。

シアターゲームで培われるもののひとつに即興力がある。
即興力が欠けた人との会話はつまらない。
普段の会話は、退屈だとしても当事者同士の問題ですむ。
しかし、教室で先生の会話(=授業)が退屈なのは大きな問題だ。
生徒の脳が刺激されず、学習効果が落ちる。
生徒にやる気が出ないので、動機付けができない。

楽しい受け答えは、みんなできないことはないが、たいていすぐに出て来ない。
「warm-up」「ice-breaker」と呼ばれるシアターゲームは、発想が湧き出るのをせき止めている自意識や、人見知りをする感情を溶かす。
楽しい発想が表出する回路のようなものを作る助けになる。
この回路はしばらく使わないとすぐに塞がれがちなので、本番前にすると効果的だ。

「warm-up」の一種に「energize games」がある。
例えば、「Dinosaur, roar!」という文句を急に読んでも、あまり力がでなかったり、力の出し具合がこじんまりしたりする。
こういうときに、エネルギーを適した大きさで瞬時に出せるようにするゲームだ。
先生がこういったエネルギーをコントロールできれば、表現がはっきりして幅が大きくなり、生徒にとって「面白い」という印象になるだろう。

集中ゲーム「concentration games」はエネルギーの一種、吸収の力を養う。
生徒の声をどんどん拾えたり、生徒の言わんとすることが即座にわかるようになる。
生徒の集中も自然に促され、結果的にコミュニケーションが滑らかになる。
自分の声を拾ってもらえれば、生徒はもっと発言したくなり、双方向的に活発なクラスとなる。

エネルギーがでたら、今度は質的な訓練をするゲーム「Emotion games」を紹介しよう。
日本人、特に若い人は平坦な話し方をしがちだ。
感情の起伏が見えないというか、決まったパターンだったり、自分の心を反映していなかったりする話し方が多い。
習い性となっていて、感情を押さえているという感覚もない。
英語圏の表現を前提に書かれている英文を読むとき、日本人の普段の感情の幅で読むと伝わらない場合がある。
「emotion games」は、日本人には特に重要なゲームと言える。
「emotion games」をしていると、心が軽くなる副作用もある。

こういったゲームの先に、「scene games」(与えられた場で、アドリブの台詞や人物造型をする)や、「characterization games」(いろいろな人物を即興で造型する)がある。

ゲームでのとっさの反応が、「生徒にわかりやすい」「ユーモアが感じられる」ようになってくると、今度は即興のスリルが「病みつき」になる。そうすると授業を行うことが楽しくなってくる。リードアラウドなら、リードアラウドの「ライブ」が楽しくなってくる。
生徒たちの先生への印象も、「楽しい先生」になってくる。

この秋(10月11日)の「シアターゲーム・ワークショップ」では、上記のゲームを、まずは先生方に体験して、効果を実感していただく。
その上で、自身の英語教室のアクティビティとして使うヒントにしていただく。
こんなふうに、一石二鳥を狙ってご参加いただけたらと思う。

英語指導者のためのシアターゲーム・ワークショップ

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