甥ではあるが、しばらく会っていなかった27歳、会社員が尋ねてきた。
「まず最初に、お礼を言いたい」
何のことかと尋ねると、今の自分の英語力、そして米国の支社に研修に行く選抜テストがあって選ばれたのも、「おかげさまだ」と言う。
「わたしが何をした?」
身に覚えがない。
言われて、思い出した。
小学校卒業までに何度か、夏に(ついでに)アメリカに連れて行き、その度に現地のサマースクールに「放り込ん」でいたのだった。
それ以外は、普通の日本の学校教育を受けただけ。
でも、子どものときの、「放置」に近い、現地の子どもたちの行くサマースクールへの参加経験が、彼の英語への度胸を作ったと言う。
英語を話す人に、ものおじしない。
言っていることが、何となくわかる。
そして、「ほらTOEICの結果。あんまり苦労せず、会社の合格点入り。リスニングの点が高い」と。
小学生までの英語経験、英語圏経験で、英語の勉強の動機付けができた例だろう。
英語が「得意」と思える自分になって、それを維持した本人の力である。
動機付けにちょっとだけ、力を貸したというところか。
何も期待していなかったところに、「おかげさまです」とか言われて、まあ、いいご褒美を頂いた気持ち。