あと3回残して、わたしだけ最終回を迎えたインプロ・ワークショップ。
週に1回、たった2時間だったが、インプロの「副作用」で13人の仲間がとても親しくなった。
名前を覚えることの大切さを思う。
warm-up ゲームで名前を反射的に言い合うなど、実に効果的。
始まるまでの時間、そして始まってすぐの時間は、その週にどんないいことがあったかを語り合う。
「小学校の先生をしている母が、60年代UCLAでインプロ研修を受けたことがわかって、驚いた」
というひとりの話に、わたしは驚く。
60年代から、すでに小学校の先生の指導力に効果的だと、インプロのプログラムがあったのか。
ただ、それは革新的なカリフォルニアの、おまけに先駆的な挑戦をする(わが母校)カリフォルニア大学でのことだが。
4回目のワークショップ。
この日は、インストラクターのケイティさんの指導を評価するために、上司が教室を覗くというので、ちょっと彼女が緊張気味(「A判定をもらわなきゃね」とのこと)。
warm-upで興味深い発見。
1.2つのグループに分かれ、それぞれランダムに歩き回り、相手方のひとりひとりと出来るだけアイコンタクトをとる。
これは、まあ、もはや仲良しになったわたしたちには、オチャノコサイサイ。
問題は次。
2.同様にランダムに歩き回るなか、1グループは相手方とアイコンタクトをとろうとする。だが相手グループのメンバーはなるべく視線を交えないようにする。
これが、ひとりを覗いて全員が、「難しい」と嘆くのだ。
違和感が強くて、ストレスだとか。
難しいと感じない「ひとり」は、いったいだれ?
…日本で、日夜そういう違和感で訓練されている(?)わたしに他ならない。
渋谷の大交差点など大勢がランダムに歩いているような環境で、かかわりを避けるように、目を見ないで歩き回る…ようなことを、いつもしているのだから。
この文化の違いを発言しようとしたが、クラスがその話で盛り上がって、時間をとってしまいそうで、口をつぐむことにする。
このゲームの目的はもちろん、周囲によそよそしくするのを上手に、というわけではなく、アイコンタクトの大切さを学ぶこと、なのは言うまでもない。
emotionsの表現復習の後、今回の新ゲーム。
ふたり組で演じるシーンのニューフェース。
隠された、相手の地位の高低(トランプの札で示される)を、互いに探りながら演じる。
これはインプロだけでなく、社会的動物としての自分というものを考えさせられるもの。
わたしが引いたのはKing。
わたしの上には、エースしかいないわけだ。
確率が低いから、わたしはすっかり王様気分で演じ始めた。
与えられた場面(シーン)は、airplane。
大きな態度で、相手を顎で使うファーストクラスの乗客。
これをのっけから演じて、大いに受けていたが、どうも相手の様子がおかしい。
やけに、正義感のようなもので、叱ってくるではないか!
待てよ?
ジャーン。
機長だ!
インストラクターが「さて、この二人の地位は?」
相手は「エース」。
観客(クラスメート)が、面白がったのは、いばっていた乗客(キング:わたし)が、相手(エース:機長)の地位を知って、だんだん弱気になっていく過程。
それから、多分、ステレオタイプとして「おしとやか」なイメージのある日本人女性が、ふんぞりかえって、横柄な態度をするところ?
なにはともあれ、ウケたようで、めだたし、めでたし。
(笑われる快感?!)
このゲームで、キャラ作りが一段と深まる。
社会的階層というか、生物学で言えば「つつきの順位」の要素が、キャラ作りには必要というわけ。
もうひとつ、ふたり組で与えられた場面を演じるゲーム、この日は新しく「objective」というテーマがあった。
演じるふたりには、相手のobjectiveは知らされない。
わたしが引いた札には、to feel lucky とあり、お題のシーンは図書館。
一瞬、どうしていいか分からない。
相手が、開口一番「Mom」と語りかけてきた。
(むっ。年齢的にママ役って決めつけた?)と、思ったのはまったく瞬間的で、実はこれでおおいに助けられる。
ふたりの関係が、これですぐに決まった。
会話が俄然、具体的になる。
やけに「がんばるよ、ママ」という娘に、「そんなおまえが、誇らしい」という大あまの母親で、無事、シーンをクリア。
あるドラマを切り取ったような具体的なシーンを、即興的に作るわけだ。
これが、自在に出来る人が先生だったら…
生徒としては大歓迎だ。
察してくれるし、
どんな状況でも、まずは自分を受け入れてくれる。
だから、先生に語りかけるし、教室でも発言が楽しくなるなあ。
シーンを演じるゲームの「上級コース」は、シーンリレー。
お題にそって、それぞれの作ったキャラクターでふたりずつシーンを演じ、リレーのように片方ずつ交代していく。
2度目だが、前回より仲間の芸が上達したのが分かる。
また、とっぴなキャラクターも自由に飛び出すようになった。
静かで恥ずかしがり、にこにこ話を聞いている控え目な感じだったひとりが、「ドイツ語訛りの鉄の女」になったときは、大喝采。
(インプロや演劇の上級ワークショップには、「訛り」というクラスも存在する。アメリカの社会では大切な要素。
もともと訛っているこちらは、ワンパターンになってしまうのが弱点)
キャラクター作りでは、ワンパターンにならないようにしたい。
プロは、6人のキャラを持っていて、瞬間的に各キャラを「登場」させられるという。
目標、決めた!
6人か…、よーし。
さあ、指導者のみなさん。
これから、さらに笑いの種が山盛りのリードアラウドで、子どもたちを、英語絵本の世界、英語の世界に誘っていこう。
P.S.
わたしたちのインストラクター評価は、もちろんA!