『Inside Out』ーEmotionsの演じ方も学べる今夏最高の映画

ディズニー/ピクサーの2015年公開の3Dアニメ、Inside Out。

ヒトの中にある5つの感情、
Joy, Anger, Disgust, Fear, Sadness
を主人公、キャラクターに仕立てるという大胆さ。
大真面目なテーマ「青少年の心理」を、説教臭くも教条的でもなく、万人が楽しめる娯楽作にした傑作だ。

外の世界(outside)は、ヒトひとりひとりの現実世界。
内の世界(inside)は、ひとりのヒトの頭(心)の中。

分かりやすいが緻密で、愉快な脚本と、恐らく今最高の3D技術を駆使したアートで、普通は見えないinsideを、見せて(out)くれる。

リードアラウドなどで「豊かな表現」を目指すみなさん。
これは、「芸」のためにぜひ見たい映画。

もちろん、生の英語版(字幕版)で!
声優の選び方が、日本の場合、人気取りの要素もあり、表現者の手本にならない、ただの人気者の場合もありそうなので。

5つの感情のうち、特に主になるのがJoyだ。
子どもの健全な成長を願う大人たちとしては、自然なことだろう。

Joyは、絵でもそう描かれているのだが、オーラのような光を放つ。
日本社会では、こういうオーラを、ちょっと否定的に「テンション高い」と言ったりするが、日本の外が舞台。
肯定的に捉えたい。

いつも、通りのいい明るい声。声量に余裕のある、はっきりした声。
High spiritだが、それにも段階があって、表現の幅がとても広い。
(Amy Poehlerという俳優だが、調べたら、シカゴでインプロをずっとやっていた人だった!)

いつもJoyによりそい、ときに心ならずも足を引っ張るのが、Sadness。
声は低く、テンポはゆっくり。ため息、ためらい。Sadnessのいろいろな形が表出する。

Angerは、わかりやすい。
段階があることを学べる。
むっとする、イラッとくるから、噴火のような怒りまで。
そして、ちょろちょろ、引っ込んでも、すぐに出てきたがったりする。

Disgustは、まだ上手くこなされていないemotionのひとつかもしれない。
映画では、黄緑色が象徴色で、いつも、あきれたり、嫌々そうだったり、気持ち悪そうに顔をゆがめたり、斜めに構えている。
これをキャラに取り込めると、芸の枠がまたひとつ広がりそうだ。

Fearは、弱々しい紫色のキャラクターに描かれている。
何しろ、何でも恐れる。心配性でもある。注意深いとも言えるのだが、頼りない。

映画では、この5つの感情が、ひとりひとりの中に、それぞれのキャラクターをもちつつ存在して、outsideの現象に対応しているのだが、心理描写として、「そうそう!」と思えることが多く、映画館内でしだいに観客が共振するのがわかる。成功した映画だということが、よくわかる。

絵の表情も、実に芸が細かい。
日本人も、英語を話すときにこれくらい微妙に、いろいろな表情を見せられれば、もっともっと言葉が通じやすくなるだろう。

同時に、こういういくつもある、アメリカ的表情を知ると、相手の言っていることが、もっと分かりやすくなるだろう。

絵と声優の声の演技、そして脚本、すべてに良くできた映画!

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