大人と絵本を読むと〜英語絵本リードアラウドで心がけたいこと

「子どもに英語の絵本を読み聞かせしたい」という大人が増えてきた。
そんな大人と絵本を読むと気づくことがある。
それは、ぺージをめくるのがはやすぎるということだ。

孫引きの孫引きだが。

「周りの世界が見慣れたものになってくると、時間が速く過ぎ去っていくように感じられる」

だから、子どもの頃の時間はゆっくりと感じられ、大人になるとたちまちと感じる。
同じことが、絵本の読み方にも表れるようだ。
見るものを新鮮に感じる子どもと、そうでない大人の違いだ。

大人は、初めて見る本でも見慣れたもの扱いにして、ざっとしか見ない。
残念なことに、わたしを含めたいがいの大人は、大人になったからといって、多くのものを一瞬にして見られる透徹した目を持つようになったわけではない。
残念なことにそれは、わたしを含めたいがいの大人が、多くのものを一瞬にして見られる透徹した目を持っているからではない。
ただ、見たつもりになれる鈍感力を持ったにすぎない。

子どもと一緒に英語や日本語の絵本を見よう、読もうとするなら、できるだけ子どもの目で見てみよう。
たくさんの発見がある。
そして、その発見を子どもと分かち合える。
そこで初めて、大人と子どもが一緒に楽しんだことになる。
リードアラウドの指導者は、一冊の絵本を、子どもと発見しながら、子どもの時間でゆっくり読む姿勢でいたい。

最近、ある若いお母さんに、『Piggies』のリードアラウド方法を伝授していたときのこと。
彼女は、外国語教育で定評のある難関大学で英文学を学び、留学経験も一年以上ある。
絵本の英文解釈には、まったく問題がない。
これまでも、『Piggies』を自分の子どもに読んできた。

それなのに、である。
「わあ、そうだったんですか」「え、気づきませんでした」
こんなせりふの連発。
実は、本文以外で、わたしが彼女に指摘したことのほとんどが、これまで一緒にリードアラウドした子どもたちに学んだことだった。

こんな言い方もできるかもしれない。
「よい絵本」とは、子どもの目や心を持つ作者が、子どもの時間の流れにそって、大人の知識と技と心血を注いで創ったものだ。
子どもは、言語の壁も飛び越して、そんな名作とすぐに結びつく。
置いて行かれるのは、知ったかぶりの大人。

リードアラウド指導者の研修で一番大切だと思っているのは、子どもの目や心を少しでも取り戻すこと。
少し取り戻した目と心で本を楽しみ、大人の知恵で導く。
そうすることで、絵本の本当の楽しさが子どもに伝わる。
絵本が生きる。
英語への興味が湧く。

さあ、大人たち。
曇った目を晴らそう。
絵本を読むときくらい、子どもの時間を取り戻そう。
そしてリードアラウド指導者。
大いに子どもから学ぼう。

Piggies

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