『10歳から身につく問い、考え、表現する力』(斉藤淳著)読後に考えるリードアラウド

 『10歳から身につく問い、考え、表現する力:ぼくがイェール大で学び、教えたいこと』(斉藤淳著、NHK出版新書)を読んだ。

 斉藤淳さんは、ちょっと変わった経歴を持っている。
上智大学外国学部英語学科卒業後、同大学国際関係論専攻博士課程前期課程終了後、Yale大学大学院政治経済学専攻で博士号、それからYaleで政治学助教授になった。それまでに短期間、民主党選出の衆議院議員だったことも。2012年に帰国して、英語と教養を教える私塾を主宰している。

 ー日本の子は「読み書きそろばん」が得意だが、「問う」力が弱い

など、アメリカに留学してわたし自身が思い知ったことが、大きく項目に挙げられていた。
どうしたらその力と、考える力、そして今まさに興味の中心にある「表現する力」をどうつけるのか。

自分のこうした力の遅れを、日本の学校教育を恨みながらも、必死で取り戻そうとした日々。
英語力もないところに、以上の力もなく、特に生物学専攻のわたしは三重苦、四重苦でもがいた。そして、研究者の道で挫折…。

これからの人たちが、そんな苦労をしないで、どんどん先に行くために、どうにかしなきゃ。
とても気になっていた。

著者は、「気になる」どころではなかった。
なんとかしなければという気持ちと、経験からくる手がかりあって、Yale大学助教授をやめて塾を日本で開いたわけだ。

10歳以上の子どもが読んでも、わかることが多いはずだ。
高校生でも間に合いそうだ。
ちょっと学び方を変えてみないか。

受験という「魔物」に取り憑かれてしまう前、または迷いが生じている本人や親御さんに読んで欲しい。

ー受験勉強を目標にしないで、普遍的な価値のある教養を身につけること。
ー本を読むこと。
ー「考える」ための学問作法を学ぶこと。

ー英語については、「話したい」と思うこと。
ー話すには内容も必要なこと。
ー英語を英語で考えるようになると、さらに力がつくこと。

いろいろと共鳴するところが多い。

驚いたのは、「10歳前後の学習法」の章で挙げられている
「腹式呼吸で発声」。
英語を話す前の準備運動として、やっておくといいとある。

リードアラウドでも重視している点ではないか。

英語の音を英語らしくする秘訣みたいなものと、わたしも気づいて始めたわけだが。
「英語は、腹式呼吸で発声し、お腹から声を出し、顔全体を激しく動かしながら発音します」と本文にもある!

そしてこう断言している。
「日本人の英語が通じない原因のひとつは、声が小さいことです」。

また、わたしもよく「NO」と言っている質問、
「ローマ字を習い始めてから英語をやればいいのでは」
「カタカナでふりがなを書いてもよいか」
これらには、著者もノーと、具体的なFAQにも答えている。

本書を通じて理系だけでなく全部の子どもに、読書などによる教養・問題提起力や数学力・英語力を、ますますつけたくなる。
つける手伝いをしたくなる。

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