電子ブックスがphysical booksを凌駕する時代が目前に迫っている。
「physical booksは、現代のロウソクのようなもの。電灯が広まって、明かりとしての必要性はなくなったが、その趣を愛する人にそれなりの使われ方をしているのがロウソク。紙の本の運命も、そんなもの」
とは、BookExpo2013のセミナー講師の口から聞いたことだ。
その「ロウソク」的未来のphysical booksの姿は、こういうものかもしれない。
手透きの紙、手刷り、手綴じの、限定3000部の絵本、Tara Publishingというインドの出版社による英語のえほん:
Waterlife
ページを開けるとインクの臭い。
凹凸が見えるぬくもりのある紙の表面を、手で撫でたくなる。
マットな色合いが、眼を優しく癒す。
ポリネシア一帯にみられるような抽象化した動物の絵に通ずる、優しくユーモラスな絵だが、高い洗練を感じる。
世界に3000部しかない本だ。
その証拠に、本1冊ずつに番号が振ってある。
仕入れられるのは、今日のところあと19冊……。
本を作っている過程は、このよう。