「日本戦後史を映画でおさらい」しながら考えるのは……

年末年始の「自由時間」のテーマは、日本の戦後史と決めた。
読書が主だが、つい夜は映画を見てしまった。

ひとつは、『小説吉田学校』。
昨年のNHKの、やはり吉田茂を主人公にしたドラマと比べて一番の違いは、「吉田茂」の造形か。

映画は、森繁久彌。
いやまあ、自然で「このひとが吉田茂か」と、本物と思えるぐらい。
存在感があって、違和感を持つ隙がない。
TVドラマでは、俳優が「無理しているな」と気になってしまった。
存在感を出すのは、難しいことだと改めて思う。

演じることをしみじみ考えていたら、『金環蝕』をやっていた。
九頭竜ダム落札事件をモデルにした石川達三の小説が原作だ。

こりゃ、今の日本映画界では出来ないほど、名優ぞろい。
文字通りの「競演」で、「料理しながら」のつもりが料理の手を休め、TVの前にどっかと坐ってしまった。

宇野重吉が、「金融王」と呼ばれ造船疑獄の火付け役にもなった森脇将光をモデルにした役。
「ネズミ男」のように貧相なのに、政界を暗躍する億万長者の金貸し。官僚や政治家がビビる凄みがある。

仲代達矢は、官僚出身の官房長官黒金泰美をモデルにした。
いやーな、ぬるっとしたエリートで、濡れ場も必然性がある感じ。

三國連太郎は、「黒い霧」で有名な代議士田中彰治に。
野卑で、エネルギッシュ。
お金に負ける俗物感がよくでていた。

この3人の気迫だけでも、画面に吸い付けられるのに、賄賂を渡す建設会社副社長が西村晃、法務大臣高橋等が大滝秀治、首相(池田勇人がモデル)は久米明。
検事総長が加藤嘉、内閣秘書官だって、山本學だ。
女優も負けてはいない。
お妾さん役の、中村玉緒だったり大楠道代も、首相夫人の京マチコも存在感あり。

名演技にクラクラした。
名優たちの爪のアカを煎じて飲みたい……。
まあ、あくが強過ぎて、こんな人たちが絵本には出てきたら怖いけど。

あれ、「歴史の勉強」がまた、考えているのはリードアラウドのことか。

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