先日の指導者向けリードアラウド・ワークショップでは、参加者全員が絵本の登場人物とナレーター合わせて10人分の声を、予め用意して臨んだことに感慨を覚えた。
英語絵本の朗読が、実に楽しく聞けた。
英語が母語ではない子どもたちにも、これなら伝わるものがあるはずだ。
でも、表現の世界にはまだまだ、「上」がある。
どこを、どうしたらさらに「上」に行けるのか。
考えてみた。
これまでのみなさんに、ほぼ共通して言えることがある。
登場する子どもの声やいいまわしが、まだ不自然。
これを、本物の子どもらしくすること。
どこか観念的な「子どもらしさ」で作っていて、そこに工夫の余地がある。
清涼剤のような役目をする、子どもの純真な声が欲しいのだ。
先日、ラジオで古い日本のヒット曲がかかった。
小坂明子さんの「あなた」。
「♪もしも〜わたしが〜家をたてたな〜ら」という歌。
この声、少女の声なのだ。
もうひとつ少女を挙げるなら、宇多田ヒカルさんのデビューアルバムの声。
純真だ。
少年なら、『Ben』を歌う少年時代のマイケル・ジャクソンか。
わたし自身も苦労している。
アンデルセンの『絵のない絵本』を練習していると、どうも「少女」がいけない。
ふけすぎたり、ひねくれていたり、カマトトだったり。
気味悪い声になる。
どこかで悪魔に少女の魂を売ってしまったのか、と情けなくなる。
自身に実経験のない「少年」のほうが、客観的になれてずっと楽だ。
チャレンジだが、この子どもの声の「チャンネル」を持つと、絵本の朗読がさらに立体化する。
同時に、その声に子どもたちが「はっ」と反応し、その本への興味を深めてくれるはず。