リードアラウド指導ポイント:褒める

今朝の『天声人語』。
日本画の巨匠、平山郁夫さんが無名だった頃、やっとの思いで描き上げた院展出品作を、総評の末筆で「おもしろい味がある」とほめられ、それが励みになって描き続けられたという話にふれていた。

評する立場にある人は、この例のように、褒めることで学び途中の人を伸ばすことができる。

平山さんの話と並列には出来ないが、わたしにも経験がある。
その昔、あるノンフィクション賞に応募し、佳作に入って審査員の評をもらえたときのことだ。

今思えばもっともなのだが、さんざんな評があった。
しかしその中に、
「元気がある。ロンビンソン・クルーソーみたいで楽しく読んだ」
との評もあった。
ざくざくに切り裂かれた若い心が、どんなにその一行に救われたか。

また別の作品では、それを読んでくれた有名作家のひとこと。
「きっと書き続けるひとになるよ」。

今、講評などする機会もあるわたしだが、このときの気持ちを忘れないようにしている。
そして、指導者になろうという人たちには、それを伝えたい。

ものには言いようがある。
指導者なのだから、その人が伸びることを言うべきだ。
そして、「褒められる方が人は伸びる」という科学的分析があるのだ。
なら、大いに褒めよう。

たとえ正解がある答えに誤答をしても、子どもには
「よく手を挙げて答えられたね」などと、その行為を褒めたい。
「今の読み方、いい声だった!答えは他のみんなはどうか、尋ねてみよう」正誤ではない観点なら褒められる。

またもしかしたら、正解がない問いかけだったかもしれない。
「おもしろい考え方だね、それもアリかも?」
「先生の質問のしかたが、わかりにくかったかな。気付かせてくれてありがとう」

いろいろあるはずだ。
気持ちのいい褒め方、「褒め力」、これからも磨きたい。

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