「本当の表現は……」ある俳優の言葉

その道のプロは、ぽろりと物事の本質を突いた言葉を発する。
そして、それはどうやら共通点があり、「物事とはそういうもんなんだ」と思っていもいいのかもしれない。

今朝の新聞では、俳優の大杉蓮さんが、歌手の高田渡さんに言われたことを語っていた。
大杉さんが昔、高田さんのステージで歌った後のこと。
高田さんに「熱唱だね」と言われ、「胸に刺さりました」と。

そして続ける。
「だって、本当の表現は熱演とか熱唱を越えたところにあるわけじゃないですか」
「いつの日にか、『今日は熱唱じゃなかったね』といわれたかった」。

そう!
「熱演でしたね」と言われたら、本当に胸にその言葉が刺さるっていう感じ。
ずさっ。

この高田渡というひとは、「ぼそっと言う。決して直裁な表現は使わない。『だめ』と言わずに『だめ』を伝える。それが後でボディーブローのように効いてくる」と、大杉さんに言わしめるひとだった。

ここで先輩の高田さんも凄いが、ちゃんとその「ぼそっ」とを受けて、感じて、自分の成長に繋げる後輩の大杉さんも本気のひとだ。

そうして、ひとはプロに、つまり本物になっていくものらしい。

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