リードアラウド指導実習生のノートから

リードアラウド指導実習生の「指導記録」のノート(備考)から(かぎかっこ内が実習生。→は、大島のコメント):

「読み聞かせではないリードアラウドは、子どもも一緒に声を出して読む。
しかも指導者は朗読の技術を要求され、かつ子どもたちの興味・意識を向けさせ(持続させ)るため、ある種のカリスマ性とお笑い芸人的求心力も要求されるのだ。
それを”実感”した体験だった」

「ポストイットの(註:授業計画などを書いた)メモ書きなど、始まってしまったら全く目に入らず、しかもよく見えない(日本語で書いたものは見えた)」

メモは最小限に。
読んでいる余裕がない。
ポイントを日本語で書くと、確かにそれは目に入りやすい

「どうしても〜(中略)〜まで進んでこのおもしろさを皆で共有したいという思いがあり、後半はかなり急スピードになってしまった。〜(中略)〜私が大声で読んでしまいそれを一人ひとりリピートさせるという形式に陥ってしまった」

文を読ませるのを急がず、まずはキーワード。
ひとつでも、皆が言える語を作るつもりで。
全文を上滑り、のっぺらぼうで読むよりも、「ムニャムニャ」がところどころあっても、かっちり分かる語が1つでもあるほうが、印象に残る。
今回は「cackling」だけでも、それこそ「かっかっかっ」という実際の魔女っぽいcacking付きで、この語が読めたら将来役に立つ可能性がある。
「記憶は、興奮とか感情の盛り上がりと結びつくと、残りやすい」ことが証明されている

「後ろの方は、文章が長いので『半分に切って』と言われ、半分のセンテンス(に)。
それでもわからない顔をするので、ひとつの単語をリピートさせる、という場面が多くなってしまった」

長い文章の場合、
まず、指導者のその部分の読み方と絵で内容を、ディスカッションも交えて、大まかに理解させる。
その後、一番のキーワードを表現豊かに読む練習。
そのキーワードの周辺で、関連の強い前置詞や冠詞などを含めた句にして練習。
そのようにして言い慣れた句を組み合わせて、「長い文章」を読む。

例えば『Guess What』の中の一文、
Some people say she’s really mean.

まず、本書内の魔女のいかにもmeanな顔を見せながら、ひとりひとりがmeanな顔を作って読む練習。
「もっとmeanにすると?」と、really meanな顔を作り、really meanを読む。
「誰がreally meanだって?」とたずね、「この魔女が」と答えるのを待つ。

「そう、she’s really mean」と納得した言い方で言い、そこを読ませる。
「こういうこと、誰が言っているの?」
「だれか」などと答えさせ、「そうだね、Some people say、 この魔女が実に意地が悪いなんて言うんだ」と確認し、some people sayを読む練習。
そして、ついに「合体」、全部くっつけ、Some people say she’s really mean.の完成だ。

こういう過程を踏むと、初見では長く見えた文が、そうでなく感じるようになる

「大きく反省している点は、私の立ち位置が悪かったということ。
かなり(註:生徒たちの)机に接近して右に左にと移動しながらやっていたことで、私がどのページを開けているのか、全員に見えていないようだった。
しかも、指差し確認を常にしていなかった(忘れた!)」

指導者と同じページを開けているかの確認は、特に重要。
そのために、見やすい位置に立つ。
おいてきぼりを出さないことが、リードアラウド成功の秘訣のひとつだ。
いろいろな理由で子どもはすぐに、はぐれる。
それを叱るのではなく、ユーモアを持って茶化すような感じで、「あれー、違うページの人がいるね」などと、注意を促す。

同じページが開いていても、指導者やクラスメートが読んでいるところが分からなくなることも頻発する。
そこで「指差し確認」も重要だ。

「上から2行目の、左から二つ目の言葉だよ」などと、詳しく正確に指摘し、見渡して、指がずれている子には、直接指をそこまで持っていってやる

「まるで、お風呂で汗を流しながら最大ボリュームでやったのと同じ気分」。
→ご苦労さまでした!

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