リードアラウド vs. 雷雨

争いは好きではないが、先日は雷雨と張り合うことになってしまった。

前日に一時的強雨が降ったが、この日の朝は晴れていた。
傘も持たずに、会場である表参道のクレヨンハウスに出かけた。
9時45分、テラスで20人ほどを前に、Guess What?
をリードアラウドし始めたが……。

ちょうど物語の真ん中にさしかかったあたりから、ポツポツ。
あっと言う間に、ザーザー。
バケツをひっくり返したような雨脚に。

テラスの布のひさしを張り出し、その下で間もなく再開したが、雨ってうるさい。

音量があんなにあることを、初めて意識した。
ひとの声が、消されそうだ。
実際、クレヨンハウスのお姉さんが何か皆さんに言ったが、雨音にかき消され、わたしには何にも聞こえなかった。

でも、案外わたしは「逆境」が好きだ。
この「うるさい」強雨の中で、リードアラウドも面白かろう、やろうじゃないの。
こう、思ったわけだ。

雨が屋根を打つ音は、さすがに自然の力。
よく響く。
まあ、屋根全体が太鼓になったようなものだ。
その真下で、絵本を読んでいるわけだ。

「太鼓」の音に負けない声を、と努めた。

ちょっとだけ、喉の心配もしたが、あーら不思議。
思いっきり声が出せて、かえって体が喜んでいる。

鼻から息を吸って、ゆっくり吐く息にのせて読む。
頭頂というか、つむじのあたりに口があるような感覚で、声が通る。
肺が思いっきり、その袋を膨らましたり縮ませたりしている感覚がする。
横隔膜が上下に動く感じもする。
体が、ふいご化したみたい。

「聞こえる?」
と何度か、参加者に尋ねたが、みんな「聞こえる〜!」。
そうそう、子どもたちの声もよく聞こえる。
(この子どもたちも、ヴォイス・トレーニングをしているのだろうか……。)

特別にこの日は、2冊目A Dark Dark Tale も読むことになっていた。
この本ではお決まりの、低いトーンで「a dark……dark……tale」と始めた。
低い声の声量を上げるのは、かなり意識しないと出来ない。
丁寧に、声量のある低音を出していたところ、
「ドーン」

こりゃたまらん。
雷がどこかに落ちた。
うるさい。
音量が、かなわない!

まあ、救いは、ちょうど一文のピリオドのところで、区切りとしての効果音とも考えられたこと。

リードアラウド(の声)vs. 雷雨 の勝敗はわからない。
多分、雷には負けた。
でも、こちらの声帯はびくともせず、声は何人にも確認したところ、「はっきり」「聞こえた」とのこと。
翌日も、喉には何の疲れもなく、
わははは。

わたしは、勝ったつもり。

P.S.
ワークショップ参加者のみなさん、初級朗読受講のみなさん。
いつも皆さんとしているwarm-upトレーニング、声のためには有効ですよ〜!
雷雨にも「勝つ」、強靭な喉、声を作って行きましょう。

家庭でできるのは、あの、いつもの呼吸法。
そして、音読するときにそれがヴォイス・トレーニングになるように、
5メートル先に届ける声のつもりで、しっかり出す。
次のWSまで、毎日やってみてください。

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