“Don’t think, feel” ふたたび

またまた新聞の「広告」ページで、立ち止まった。
A新聞求人欄の「仕事力」というコラム。
お題は「感動する人であり続けよう:坂田栄一郎が語る仕事」だ。

英語絵本の朗読と指導方法を「リードアラウド」と称して、恐れ多くも、プロの英語の先生その卵などの皆さん向けにワークショップを開いている。
そこで、皆さんの英語絵本の朗読が、どうしたら英語を母語としない子どもたちに通じるかを伝授しようとしている。
コラムを読みながら、それは「直感に訴えるように読む」こと言い換えられるなあと思った。

坂田さんは、『アエラ』の表紙写真で有名な写真家、つまり芸術家だ。
芸術家と普通の大人の違いは、直感が埋もれていないか、埋もれているか。
坂田さんの言う通りだと思う。
芸術家として彼が大切にしてきたのは、「自分の感覚を研ぐ気持ち」。

子どもは、みんな芸術家だ。
直感が埋もれていないで、感覚で生きている。
そういう人間(子どもたち)に、わたしたちが感覚が麻痺したまま本を読んで、おまけに、それが母語でなかったら……。
はい、「チンプンカンプン」と言われます。

ブルース・リーは、『燃えよ、ドラゴン』でいみじくも、おっしゃいました。
Don’t think, feel!

英文を文法や語彙の知識で理解しているだけの頭は、「説明」だらけ。
でも心で分かっていると、説明がいらない。
大胆に言えば、「説明」は中学になってからでいい。
英語絵本は、ありがたいことに、絵もついている。
心で本を理解した大人なら、その朗読が、心で生きている子どもたちにストレートに届くはず。

わたしの仕事は、矛盾して聞こえるかも知れないが、その「心」または直感を「説明」し、大人に具体的に、段階的に、再現する道を示すこと。

それにしても、子ども時代はみんな持っていたはずの直感なのに、忙しい毎日に振り回されて何年も生きてくると、ずいぶんと深くどこかに埋もれてしまうものなんだなあ。
ワークショップでいつも思うのは、そこでの大人のどんなに上手い表現も、いろいろな条件がそろったときに子どもから飛び出す、同じ本を読むときの表現にはかなわない。
お手本はその、上出来なときの子どもの表現だ。
そして、本当の名人は、「上出来なときの子どもの表現」をいつも出来る人。

わたしも、自慢出来るほどの直感力があるわけではないので、日々の観察と練習という努力が欠かせない。

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