凄いぞ、小学生!(英語絵本リーダーズ・シアター)

長年リードアラウドを続けている私立小学校。
3、4年生は、Readers’ Theater形式のリードアラウドをおこなっている。
20人のクラスで、60分×3回の授業。
テキストは、ほぼ会話で成り立っている絵本2冊を選んでいる。
先日の3回目の授業は発表会だった。

このクラスで使ったテキストは、『Are You Ready to Play Outside? 』『I Want My Hat Back』の2冊。
『Are You Ready to Play Outside? 』は、ユーモアに定評のあるMo Willems作のシリーズ。同シリーズの別の本を使ったとき、悪くない感触だったので安心。
問題は『I Want My Hat Back』
昨年、アメリカの絵本界を興奮させた新人作家Jon Klassenによる「新しい」絵本。
予定調和ではないシュールな結末が斬新で、ネイティブの読者にも挑戦的。
小学校3、4年というと、結末がすぐに予想できるような「幼稚な」絵本にはアレルギー反応が出始める年頃。
特に男の子は「幼稚な」絵本に敏感だ。
この学校には男の子が多い。
きっと好まれると踏んで選んだが、実はどうなるか心配だった。
さて、その結果は……。

1回目の授業。
「文が難しい」「長い」「早口っぽい」などの声が聞こえ、ちょっと不安に。
とはいえ、子どもたちの理解は速く、ウケるべきところですんなりウケた。
やぼな説明がいらなかったのも、ほっとした。
それから、予想外にウケたのがアルマジロ。
絵柄や、意外性、トボケたせりふ、それに「アルマジロ」と「armadillo」の発音のギャップが、ウケた理由かもしれない。

2回目の授業。
この学校でリードアラウドしていて凄いなと感じるのは、子どもたちの素直な感性に加え、リードアラウドに協力的な家庭環境。
みんなちゃんと、リードアラウドの「4つ目の約束」の「24時間以内にだれかに読んで聞かせる」を守って授業に参加してくれた。
子どもたちだけでなく、ご家族のみなさんも偉い。

「読みたい人は?」と聞くと、たくさん手が挙がった。
難しかったという声もあった、確実に前回より読めるようになっていた。
帽子をなくしたクマが、帽子をとったウサギに何をしたかを話題にしたり、アルマジロの役だけをやりたいと言い合っていたり、この本を楽しんでいる空気があった。

そして3回目は発表会。
役に分かれてやると言ってあったので、やりたい役を考えてきたようだ。
それにしても、アルマジロ(だけ!)をやりたがる子の多いこと。
ほとんどが男の子。
せりふのトボケた感じと短さ(「What is a hat?」だけ)が魅力的なのだろう。
そうは問屋が卸さない。
もちろん、クマ以外の動物とアルマジロを組み合わせて配役した。

さて、発表の出来は?
「アルマジロしか練習してこなかった」という子の存在がクラスを和ませたこともあって、緊張がなくなった。
「上手に読めなかったらどうしよう」という心配がふっとんだらしい。

クマの独特なせりふや口調が変化していく様子。
ウサギがしらを切るときの後ろめたさいっぱいのせりふ。
それぞれの動物の「らしさ」を、子どもたち自らが工夫した痕跡がみえた。
限られた授業時間の中で目を見張るような成果だった!

たくさんの保護者の参観が、子どもたちを緊張させることもなかった。
家族が興味を持って見ているということが、子どもたちの張り合いになったみたいだ。

『I Want My Hat Back』は、英語自体にヒネリが効いているので、大人でも英語のニュアンスを汲まないとピンとこない。
しかし今回、ネイティブではない日本の小学生でも、家庭と学校の英語カリキュラム(週4〜5時間程度)による後ろ盾もあって、楽しんで取り組むことができた。
しかも、きちんと英語の微妙な表現を解釈した上で、自身で表現し朗読するという、実年齢相当の深い楽しみだ。
凄いぞ、小学生!

I Want My Hat Back

Are You Ready to Play Outside?

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