2012年のBook Expo America

1991年から欠かさず行っている、アメリカでの最大の本の見本市、Book Expo。
皆勤なので止められず、今年もNYへ行った。

確か3,4年前から、空気が変わった。
この見本市の主要な「客」は、書店(だった)。
各出版社が、一年で一番多い秋の新刊を中心に並べ、書店に買い付けてもらう、重要な商談の場としての位置づけが、揺らいでいる。

ここ3, 4年に起こった事。
電子書籍の出現と、巨大ネット書店による本とディバイスのセット販売の伸び。
大きな書店チェーンがひとつ消え、本屋のない街も出現し、巨大ネット書店がさらに巨大になった。
iPadの普及で、電子書籍のさらなる普及。

こうなると、出版社は消費者に直接、本を売る事も出来る。
消費者は、電子書籍を巨大ネット書店、アップル・ストア、または出版社から買い、実際の書店の役目がなくなってきたのだ。

半分に減った酒瓶を見て、「あと半分ある」と思うか、「もう半分ない」と思うか。
今年の来場者には「あと半分ある」という、ゆるい楽観の空気が満ちていたと思う。

相変わらず、作家のサイン本がもらえるコーナーは、大盛況。
「新ビジネス・モデルの模索」なんてお固い、現実的なセミナーよりも、I Want My Hat Backの作者と言葉を交わすほうが楽しかったけど。

その作者、Jonさんに会って「昨年、『日本での翻訳出版の話をつける』と言ったわたしのこと、覚えていますか」と尋ねた。
はっとしたJonさん。
「あ、覚えてる、覚えてるとも!そのせつは、ありがとう」
クレヨンハウスで翻訳出版が実現したことを、随分と喜んでいた。
成功したひとではあるが、まだ新人ということもあり、何と言っても若い。
もったいぶらずに、とても好感がもてた。

この日、サイン用に用意されたのは、その続編。
前作は、クマが帽子をウサギに取られ、それを取り返す話。
続編は反対の立場からの物語で、帽子を取ったサカナが、取り返されてしまう話。

これまた、たいへん文も絵もよろしい。
リードアラウドする絵本候補である。