文鎮堂おすすめBOOKS:The Big Wave by Pearl Buck

The Big Wave, by Pearl S. Buck Lexile 790L

津波による災害遺児の物語で、舞台は日本。驚くべき今日性があるが、1948年刊の中国育ちの米国女性作だ。『大地』で、ピューリッツァー・ノーベル文学両賞を受賞した。   

 「3.11」後に、本書を思い出したのは、わたしだけではなかった。英語圏の読書家たちが本書を東日本大震災直後に読み直し、推薦している;it’s a story I want to share with younger family members(1)とかA favorite story from my childhood became all too real(2)など数え切れない。   

 海辺に住む漁師の子Jiyaと、丘の農家の子Kinoが主人公だ。運命の日、空と海の色を見て不吉な予感がしたJiyaの父は、息子を親友のKinoの家に行かせる。そして「想定外」の大津波が、漁師の村を襲い、すべてはぎ取って行った。ひとり残ったJiyaはKinoの「兄弟」となり、農家の子として育つ。家族の死の悲しみと生き残った罪悪感を乗り越えて、Jiyaは立派に成人する。そして元の漁村に再び家が建ち出したある日、「漁船が欲しい」と言いだす。「Life is stronger than death」、静かな父のこの言葉がKinoの心に沁みるのだった……。あれからまだ1年経たないわたしたちの耳に、メディアから聞こえてくる海に戻った漁師たちの喜びの声や、「いつか戻るよ」という海育ちの子どもの声がシンクロする。                             
「生きるとは」を、平易な英語で、じっくり考えさせてくれる。 
A great read for quiet contemplation(3).  

                               
 (1)子どもたちと読みたい物語だ(2)昔愛読した物語が驚くべき現実に(3)黙考に最適の書

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