文鎮堂おすすめBOOKS:The Omnivore’s Dilemma

The Omnivore’s Dilemma
 (文)Michael Pollan (レクサイル指数) 930L

日本男子に増えているらしい「草食系」、文字通り草食動物ならherbivores、対する肉食動物はcarnivoresと呼ぶ。本書タイトルにある omnivoreとは、肉、草問わず食べる雑食動物のこと。
「人間は本来、雑食動物だが、今や食べていい悪いを本能的に嗅ぎ分ける力がほとんどない」と作者は書く。何でも食べられるが何を食べていいかわからない。このジレンマがタイトルの由来である。副題通り、日頃食べている食品に隠された秘密を、探偵よろしく現場に何度となく足を運んで著した社会派ノンフィクションだ。YA向けだが、親本と姉妹本はNYタイムズ・ベストセラーであり、実名の企業名が物議をかもした話題作。
 アメリカで消費される食品の多くは、野菜も肉もまるで工業製品のように生み出されている。まず、そういった大量生産食品を食す典型「マック(マクド?)食」を例にあげ、秘密のベールを剥がして行く……。
 正直言ってショック。発見も多い。国、企業、農家などの都合で、主農産物になったトウモロコシが食を牛耳っている。コーラの甘味料も80年から、廉価なコーンシロップに。本来は牧草を食べる牛が、トウモロコシを食べさせられ消化不良を起こす。その結果、ほとんどの肉牛は半病人(牛)で、生かすために薬漬け!「オーガニック食」のベールの向こうにも、秘密がある。餌は有機だが、ぎゅうぎゅう詰めの鶏舎で促成され足腰が立たない、こちらも「半病鶏」……。
 「local sustainable食」と、マタギのような「Hunter-gathere食」が紹介されるあたりから、やっと読者に光明と食欲が戻って来る……。

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