The Invention of Hugo Cabretが映画に

2011年のアメリカHoliday seasonの目玉映画であるHugoを、今滞在中のポートランドで見た。
3D、スコセッシ監督、J.ディップのプロデュース作品である。

原作は、絵本界で活躍してきたBrain Selznick作のThe Invention of Hugo Cabret
絵本としては文章が多く、読本にしては絵が多い。
カテゴリーとしては「グラフィック・ノーベル」とされるユニークなものだ。
栄誉ある「絵本」として、2008年度のコルデコット大賞を受賞した。
数ページに渡る絵だけの部分と、文だけの部分が交叉する。
そうすることでリズムが生まれ、読者を飽きさせない。

舞台は1930年代のパリ。
時計など精密機器の修理職人である父が、不思議なカラクリ人形の修理途中に亡くなる。
それを息子のヒューゴが、必死に完成させる。最後にある少女の協力で鍵を差し込むと、人形はペンをとり何かをかき始めた……。

533ページの分厚い本でも、絵の部分でスピーディに筋を追えると同時に、絵で内容が一目瞭然という場面も多い。
それが、読者の想像力の足りない部分を補い、struggling readers(読書がまだ楽でない読者)でも楽しくなるしかけだ。

ということで、原作を充分楽しんだので、映画への目はちょっと厳しくなる。

まずキャスティング。
これは、原作の絵のイメージによくぞここまで似た主人公たちを見つけた、と感心するほど原作とのギャップがない。
子役の演技にも、違和感は感じなかった。

パリ駅や、少年がねぐらにしている駅の大時計の裏など壮大な感じは、さすが映画ならでは。
3D効果も、そこできいている。
からくり人形も、実際に動く様を見られるのは、ディズニーランドで「本物」ミッキーに会った時のように、ちょっと胸躍る。

本作だけのことではなく、いつも原作本と商業映画化された作品間に存在する違いだが、映画は万人受けするよう、よけいなセリフがあったり、説明的映像があり、うるさく感じることがある。
肯定的に言えば、分かりやすい。

原作を読んでいる時に、ある場面であまりに期待が高まって、ちょっと先を読むのを休むことがある。
こうすると、その休んでいる時間にどんどん想像力が湧いて、再び読み出した時に、どかーんと感動が爆発する。
本書でも、そうしたおかげで、いくつかの場面では鳥肌が立った。
……、当然のことながら劇場で見ている映画では、これがない。

「パパ、この映画のもとの本を読みたい!」と隣の席の7歳くらいの少女が言った。
「本屋がそばにあるから、じゃ、寄ってくか」とパパ。
こういう会話が、劇場のそこら中でされているといい。

それから、映画館でも原作本を売ったらいいのに、とも思った。
 

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