「この絵、1つだけ違うんだよ」Mo Willemsの本で発見!

Mo Willemsの本には、注意!

There Is a Bird on Your Head!を、3、4年生のクラスで読んだ時のことだ。
本の見返し(最後の絵のページと裏表紙の内側)に、繰り返しパターンでデザインされた、本文にも登場する鳥一家の巣での様子。
同じ絵が、版で押されたように見開きいっぱいに繰り返し印刷されている。
大人の目は、それを一瞥しただけで、すぐさま模様として認識して終わり。

ところが、である。
「先生、知ってる?この絵、1つだけ違うんだよ」
雑談の時間だったので、適当に聞き流しそうなわたしに、もう一声。
「先生!ここ、ここだけアヒルが入ってんだよ!」
小鳥の親子で、全部どの絵も同じと思っていたのに、右端に描かれた小鳥の巣に、別の鳥がちゃっかり入って、みんながミミズを食べている隣でハンバーガーを食べているじゃないか。

「あっ!」
本気で驚いたわたしに、「してやったり」顔の少年。
でも、そこでエヘン。
「でも、それアヒルじゃなくて、ハト!」
(感性で子どもに負けても、知識で挽回しようと「大人らしい」わたし)

Mo Willemsのファンにはおなじみの、あのPigeonが、紛れ込んでいたのである。
こういう「しかけ」、本当にMoには、敬服する。
絵本界のSteve Jobsかも。
子どものまま、と思わせる感性だ。
それが、アート……。
子どもが何を欲するかが、恐らく、作者自身の欲求とシンクロしている。

大人がパターンで認識してしまうところを、子どもはひとつひとつ、好奇の目で見る。
そこに発見がないものは、子どもにはつまらない。
いい絵本には、そういった子どもの視点での発見が隅々にある。

P.S.
アメリカのサイン会会場で、Moさんを観察していたことがある。
ある子がサインを頼むと、「いくつ?」「9か、おじさんにも9歳の子がいるんだよ、そう、この本のこの子みたいな子」などと、絵本を話題に、ごく自然に子どもと会話を楽しんでいる様子。
多くの絵本作家を知る、わたしの(多分、思い込み?)直感では、この「おじさん」(お兄さんっぽい)は、ほんとに「子どもの仲間」だと思った。

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