先生方の怖ーい話@リードアラウド・ワークショップ

指導者リードアラウド・ワークショップ、今月のお題はA Dark Dark Taleだった。

本書は、子どもたちにせっかくの怖い話の「ネタばれ」しないよう、いつもの指導法とは違って、子どもたち自身が読む前に指導者がリードアラウドすることにしている。
そのため、特に指導者の表現力、つまり朗読力が問われる。

Once upon a time から始まる典型的な昔話スタイルだ。
秀逸な絵が多くを語ってくれるので選書したわけだが、そこに「語り部」が不在でも困る。
どうしたら、英語があまり分からない子も、逐語訳なしで楽しめるか。
そのための練習を、振り返ってみる。

dark な声、緊張走る声、囁く声など、バラエティに富んだ声は、人を楽しませるひとつの要素。
表現を伝える手段である声を磨くため、この日もボイス・トレーニングから始めた。
大きく、強く、美しい声のために、「ミドルボイス」と呼ばれる地声を育てる練習だ。
このトレーニング後は、実に声が出やすくなるから不思議。
節電でエアコンの代わりに窓を開けていたこの日、7人の先生方の声が自由が丘に轟いた。

先月の復習を済ませたあとグループに分かれて、それぞれ自己流のA Dark Dark Taleを一通り読む。
この読みは、この後のワークショップでの気づきや、わたしと他の参加者の指摘を受けて後のものと比べるためだ。

そして、全員の前で公開模擬授業。
数ページずつ、ひとりが分担し、模擬リードアラウド指導を、参加者相手にする。
指導者の読みと絵と発問だけで、各ページを生徒に理解させられるか。
理解も、楽しさに繋がるのだ。

dark の意味なら、darkな声を出す。
「怖ーい」と、生徒はわかってくれるが、darkに暗いという意味もあって、それを「暗い」と日本語訳を言わずに、どう分からせるか?
などなど、主に生徒への発問を通した指導を練習をした。
発問されると、生徒はクイズのように感じて興味を持つので、リードアラウド指導ではこれも大切な要素。

この発問だが、指導者側に問題意識が必要だ。
いざ発問しなければならないとなると、それまで気がつかなかったところを、大人になって多少目が曇った指導者にも、発見はある。
こうしてこの日も、多くの「気づき」が蓄積された。

また、本書では、on the moor とかin the wood、at the front of the door など前置詞や前置句が多く使われている。
英語学習者を悩ますこれらを、ネイティブが学ぶ時に近い状態、つまり付帯状況とセットで学べるチャンスだ。

場所がいろいろ移動していく展開なので、それらを前置詞(句)付きで記憶する簡単なゲームをした。
本文の語彙や句が、何度も聞かれ、自分も口にする。
このゲームを介した自然な繰り返しが、英語を少しでも簡単に感じさせる効果を持つ。

神経衰弱ゲームでもそうなのだが、英語力だけでは勝てないゲームにすると、より楽しい。
だれにも勝つチャンスが、または英語の先生さえ負けるチャンスの有無は、力の違う生徒とやるゲームに必要な要素だ。

これらを楽しんだ後、残り時間30分。
いよいよ再びソロでの朗読だ。
すると、あーら不思議。

書かれている言葉が、各人の口から語られる時に、命が吹き込まれたよう!
(まだところどころ、イメージの浮かばない言葉を残しているにしても)
crispな感じ、とでも言おうか。
平坦だった言葉が浮かび上がる感じだ。
これなら、子どもたちもハッとするに違いない。

そして、間がいい。
「ため」があって、「さあ、次に何が起こるんだろう」と、聞く者の気持ちが高められる。
(まだ、ときどき「滑る」にしても)

このワークショップの3時間も、捨てたもんじゃなかった!
わたしもほっとする。

さて、この後の目標だが、個々のものもあるが、共通のものもある。
共通の目標は、集中力をつけること。
「所々にいいところがある」状態から、全部を把握した上の演出を考えるくらい制御の利く状態に持って行くこと。

集中力のためには、愚直なようだが、繰り返しの練習!
1日に何回も必要はないが、頭が忘れない程度の頻度で、集中して通し読みする。
その時間だけ、精神統一、思い詰めたような気持ちで。
そうすると、逆にごく自然な感じの読み方になっていくところが、ないやら逆説的で興味深い。

お休みしたみなさんも、「ビビり」ながらも、練習して、楽しい「怖ーい」話をお待ちしています。
そして、みんなで今年のハローウィーンには、生徒たちを「怖ーい」と、嬉しがらせましょう!

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