リードアラウドのためリンゴ店へ

食物、空気、水のほかに、わたしを生かしているのは、少々大げさに言えばリードアラウドへの情熱。

先日、朝のツイッター読みの時間に、イギリスの新聞Times のつぶやきを読んだ。
そこに、iPad用 Appで、あのT.S.エリオットのthe Waste Land(『荒地』)が出来て、素晴らしい出来上がりだとあった。

現代詩の名作を読み解く読解力にはまだ限りがあるが、この詩のアイルランドかどこかの荒れ地に吹く風のような空気が好きだった。
そこで、「お試し」を見た。
そして、ガーンとノックアウト。

この詩をperformanceとして読んでいる女優のビデオだ。
The Waste Land
と彼女が読んだだけで、ぞくぞくする。
目は釘付け、耳はレーダー状態だ。

高い声、低い声、ナレーション部分に相当するところの地声、バラエティに富んでいる。
遅いところ、ハイピッチなところ、ゆったりしたり、緊迫したり。
若い女性が登場したかと思うと、入れ歯のじいさんも出てくる。
色鮮やかで、ジェットコースターに乗ったようなドキドキがあり、多くの感情が渦巻く。また、ひとりなのに、そこに何人もいるような錯覚に陥る声。

これは、ワークショップのみなさんと共有しなきゃ!
と、ウェブ上の店の魔物、ワンクリック。
押してしまった……。

すぐにダウンロードされたそのApp。
よく見たら、なんとiPad専用じゃないか!?
そしてわたしは、iPadを持っていない。

無料でもなく、かなりAppとしては高い買い物だったのだ。
見たい、もったいない。
このままでは、いけない。

まったく主客転倒だが、iPadを買うしかない。
そう心を決めて、最寄りの「リンゴ店」へ行った。

感じはたいそういいが、漢字が読めない日系アメリカ人の少年店員(「授業料が安い日本の大学に入ったが、つまらないのでやめた」というその少年。やめた大学は一橋……)がいろいろまめに説明や手助けをしてくれ、iPadを購入。

iPadと、それに先駆けて買ったThe Waste LandのAppで、リードアラウドの2軸の一方、表現力をさらに磨くとしよう。

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