「英語絵本、日本語まぜて読んでOK?」

まだまだ、みなさんの質問はわいてくるようだ。
わたしなりにお答えしていこう。

「英語絵本を子どもに読むときに、日本語も混ぜて読んでいいのか」という質問だ。

ここで、お答えするには、線引きが必要だ。
まず「英語絵本」と広く言っているが、日本の英語がまだ達者ではない子どもに読むのに適したものを厳選した英語絵本、という前提でお答えする。

どう厳選するかは拙著『声に出して読む英語絵本ー初めてのリードアラウド』に詳しい。

おおまかに言えば、それらの本は、1. アート(絵、グラフィック、装丁など)が素晴らしい 2. 1枚の絵に描かれたことと、そのページの文がほぼ一致している 3. ぱっと見て「字が多くない」印象がある

わたしの英語絵本のプロの選書者としての20年が、選書術に現れていると言えるかもしれない。
みなさんに役立つと嬉しい。

厳選した本なら、あとは説明的な、または翻訳的な日本語は邪魔。
(「日本語が邪魔」と言っているのではない)

「説明的」「翻訳的」と言うのは、得てしてpatronizing(偉そう、恩着せがましい)になり、それが子どもにとっては、興ざめになる。
とたんに、面白くなくなる。
リードアラウドの指導者向けワークショップでは、参加者にもある、この「先生臭」とも言えるpatronizing色を薄めるのも、ひとつの課題になっている。

その絵本がよければ、日本語の説明などなくとも、絵が語ってくれる。
これに、内容を「充分」理解した先生や親が、その読解を踏まえた表現で原文を読む(原文は、一流の絵本の場合、一流の作者に一流の編集者が吟味した文なので、忠実に)。

この「充分」が、みなさんが思う充分では、充分でないことが多いので、気を引き締めてしっかり、何度も読み込むこと。

書かれているを説明や翻訳しない代わりに、子どもとディスカッションする。
このときに、こちらがしっかり読み込んでいないと、ディスカッションが一方的な、つまりpatronizingなものになってしまうから、注意!

「この動物、何だろう」
たとえば、henの絵を見ながら、わざと、つぶやいてみる。
「ニワトリ!」
と子どもが発言する。
それをちょっと的確な訳語に正したいので、文中のhenという文字を指し、henと一緒に読み、
「chickenじゃなくて、これメンドリだね」
と、ニワトリをメンドリ=henに刷りかえる。

こうして、絵、状況や感情が想像しやすい表現のある読みと、ディスカッションを主にして、日本語での補助は、子どもの発言で引き出す。

つまり質問の「混ぜて読むか」には、前提条件と「混ぜ方」の条件付きで、Yes/Noで言えばYes。

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