リードアラウドとコミュニケーション力

拙著『声にだして読む英語絵本 初めてのリードアラウド』でも紹介しているが、リードアラウドの「効能」のひとつを直感したエピソードがある。

日本人ビジネスマンがちゃんと英語でアメリカ人のクライアントに、賞賛の「WONDERFUL」を言ったのに、それが通じず、「通訳」の助けが必要だったというものだ。
WONDERFULを言うとき、ビジネスマンが緊張のためか渋面でかつ少々オドオドしていたせいで、英語も発音も正しいのに、wonderfulの意味である「よかった!素晴らしい!」の感じがまったくせず、相手は「?」。
そしてわたしが、「Wonderful!(よかったあ〜!)」と「通訳」して、やっと通じた……。

この、「感じ」を出す事を練習するリードアラウド。
通じる英語、つまり英語でのコミュニケーション力を高めるのに一役買っているのだと、この時、すとんと腑に落ちたのだった。

そして、この逆(「正確な英語」ではないが、「感じ」が出ていると通じる)にあたるような素晴らしいエピソードに、この度、出会ったのである。

先日、長年関わっている私立小学校の新3,4年生と、リードアラウドの本年度最初の回があった。
この学年では、特にリーダーズ・シアターとうたって、台本的な絵本を使って、表現をより深める。
テキストは、うってつけと睨んだElephant and Piggieシリーズの「Can I Play Too?」。

キャッチ・ボールをしていたゾウ、ブタそしてヘビ。
どうしてもボールをキャッチできないヘビに、「Maybe, more balls!」とゾウとブタは言う。
そこで、それまでさんざんボールを身体に受けてしまっていたヘビが、慌てて「WAIT!」という場面。
3人の生徒に役をふり、せりふを読ませた。
ゾウ役が「もっとボール!」、ブタ役も「そうだね!」。
……ヘビ役だ……「う、う、ウ”〜〜ッ!」

何を言ったか判然としないが、場面として「ちょっと待って〜!」の「感じ」が出ていたヘビ役の「発声」(?)で、wait と聞こえたから不思議。
これが現実の場面であれば、ネイティブたちは、すっかりこのヘビはwaitと言ったと理解して、待ってくれるだろう。

リードアラウドの目的のひとつ、「通じる英語を身につける」とはどういうことかを見せてくれた場面だった。

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