学校と家庭の英語教育のバランス

続いて、頂いている質問に答えを探していこう。
これは、「中期的視野に立って」と但し書き付きの、「学校教育と家庭教育のバランスをどうとるか」という大テーマにかかわる質問らしい。

「英語で何をやったらいいのかの、年齢別目安は?」とある。
ちょっと考えてみる。

1. 3歳
音に優れているので、いい発音を聴かせる。
そして、スポンジのような頭には、語彙。
日本語の日常を英語に切り替えるのに、絵本はいい装置になるので、大活用したい。
絵本の文脈の中で、文章と語彙を聴かせる。

2. 5歳
引き続き、音に優れているので、聴かせる。
文章をピックアップできるのでビデオやCDや本でインプットすると同時に、文を頻繁に言わせるアウトプットも。
単語だけを言ったら、何気なく文で言い換えるなど文のインプットを補助する。
英語しか通用しない環境を体験させる。

3. 小学校入学時くらいの時期
書き文字と音声を結びつける力(解読力)を、early readers的絵本などで養う。
読める楽しみ、英語の音声の面白さを教え、絵本で見える異文化に興味を持たせ、自分で進んで英語を学びたくなるよう仕向ける。
人前で読んだり、言ったりする。

「親はどのようなアドバイスをおくればいいのか」ともある。

1.「小学5年生から」へは、英語での情報収集環境がどれほど充実しているか、英語でコミュニケートできる世界がどれだけ広く、これだけでも自分の可能性が広がることを、広い視野で話したらいいのでは。

2.「文法が入ってくる中学生」へは、語学は使って上達する部分と、机の前に座って論理的、体系的に学ぶべき部分があることを話したい。
両方向から学んで行くと、しっかりした土台になり、その土台は後から作ろうとすると、骨が折れることも言いたい。

英語を身につけさせたいと思ったら

出版社から頂いた質問への答えを考えてみる。
「子どもに英語を身につけさせたいと思ったら考えてほしいこと(長期的視野で)」は?
(「」は、あらかじめ頂いた「考えてほしいこと」)
1.「まず、どういう人間になってほしいのか」
これをやはり考えてみたい。
わたしは子どもたちには、選択肢の多い成年に、と思っている。
簡単な例をひけば、本好きが英語も日本語同様に読めるなら、たとえばグーグル・ブックスの1500万タイトルなども含めて、多くの中から選べるという至福を味わえる。
英語で得られる情報は、膨大かつ迅速。
英語でコミュニケート出来れば、出会いも多い。
人脈も広く、情緒面だけでなく実益もあるだろう。
これらを享受できるひとになってほしいだろう。

人間性では、どういうひとになってほしいのか。
それならば、日本人のアイデンティティを持ちながら、英語を通して得た広い知識や知見と交流を持つ、広い視野で世の中を考えられるひとになってほしい。

2.「子どもにどういう英語を身につけさせたいのか」
情報収集力があり、意見や思いを広く訴える力のある英語か。

3.「子どもに英語をふれさせることの意味」
なってほしい人間への成長を促すため。

4.「日本語とのバランスで注意すべきこと」「気をつけたいこと」
通常は、英語の密度がかなり粗なので、継続して本で補えるよう、絵本から読書力をつけておきたい。
英語と日本語の力が半々くらいの場合、一度チャンポンになってしまうと、クセがぬけなくなるので、「言語スイッチ」を植え付けたい。

英語がいつも傍らにある状況は、日本語の表現力と語彙力を磨くいいチャンスと意識する。さもないと、薄っぺらな「バイリンガル」になってしまう。

「早く始めた場合に陥りやすい問題点」も、質問が挙がっているようだ。
4~5歳になって、日本語も自由に話せるようになって、ふと「何で英語で言わなきゃならないのだ」という疑問がわきあがり、反抗する。
これを乗り切るには、英語しか通じない環境に連れ出し、母語が日本語の親が一時、引っ込むといい。

ブックエキスポ2011にて

5月最終の週にNYで開催されたBookExpo America(BEA)に行ってきた。
BEA自体の今年のテーマは、書店業界を再び活気づけること。
わたしのテーマは、子どもの本の動向観察、作家の「見定め」、本情報の更新、子どもの本屋が生き残るアイディアを探ることなど。

少々思い込みが強い嫌いはあるが、わたしは作家に会うと、その人の本質を読みやすいタイプだと思う。

インタビューなどの仕事としても、個人の興味でも、これまでに多くの絵本作家に会ってきた。
「長老」「中堅」の様子を見て、今後の作品への期待を高めたり(低くしたり?)もあるが、今年は、特に「新星」に会ってみたかった。

まずは「中堅」から。
姿を拝めたのは、Kevin Henkes, Lane Smith, Chris Raschka, Mo Willems、やや新星的なMaria FrazeeBrian Selznickなど。
みんな元気、華々しいのがSelznickとWillems。
特にSelznickがスター性を発揮、ぴかぴか光っていた。

「長老」では、Ed YoungChris Van Allsburgを観察または少々の談笑をさせていただいた。

Youngさんは、アメリカ育ちの中国系。
今秋出版予定の本は、自伝的絵本で、力がみなぎっている出来!
細面の顔が柔和で、円熟して幸福感が溢れていて、今後の作品にも期待できそう。

Van Allsburgさんは、ちょっと寂寥感があり、心配。

占い師のような観察だが、「新星」については、次のブログにつづく。

リードアラウド・ワークショップ、1ポイントレッスン

ここ3回のワークショップで、絵本のvoiceというものを練習している。
絵本の登場人物の語りである。

Rosie’s Walk では、ナレーターひとりの声だった。
Cat the Catでは、ナレーター、主人公のネコ、ネコの友だち(4人)。
先日の3回目は、Rhyming Dust Bunnies は、ずっと出ずっぱりで4人が交互にしゃべるもので、4者を際立たせるのが難しい。

絵本自体も、入門者レベルから階段を一段上がり、初級レベルに相当するものだ。
あらかじめ、本ブログで予習ポイントを書いたが、そのせいだろうか?
ワークショップ当日、やけに最初から参加者たちの完成度が高い。
うかうかしていられない参加者たちを前に、緊張する。

さて、「完成度が高い」からこそ、「あとちょっとの演出で、子どもたちをうんと楽しませ、英語をやる気にさせ、学習効果もあげられるのに」と、指導が熱くなる。

今回は、「声の分離」が主テーマ。
初級程度の子どもが聞いて、登場人物の誰のせりふか、登場人物たちの声が際立つと、ドラマが見えて、結果的に子どもたちが飽きない。

この日のワークショップ中に、「ここをちょっと変えれば劇的にウケる読みになる」ワンポイントが見えた!

登場人物中、ボケにあたる役(ボブ)が何回も、その場にそぐわないことを言うのだが、そのボブの声や言い方を、子どもに分かりやすいほど大げさに変わった声(まぬけ声とかすごく子どもっぽい声とか、癖の強いしゃべり方とか)にするのである。

そのボブのせりふを、他の3人が交互にマネして、言い聞かすせりふが直後に続くのだが、そのちょっと長いセリフがこれで、英語があまり分からない子どもにも、まるで歌のサビのように突出して聞こえる。

そして実は、この学習効果はおまけで、こうすると何しろ聞いていて面白くなるというのが、一番の効用。

リードアラウドは、英語がまだよく分からない子どもたちに、絵本を楽しませるのがミッション。
そのミッションの遂行には説明力ではなく、どうしても指導者側に、読み方ひとつで解釈させる技量が必要なのである。

お笑いに説明が野暮なのは、みんなが知っている。
読書も同じ。
読んで味わう前に、説明されても興ざめだ。
リードアラウドも同じだ。
まずは楽しませなきゃ。

●お休みしたメンバーに
ポイント2: 4人の登場人物のせりふを言う間隔を、irregularに。
4人それぞれの声だけでなく、性格付けもすると、そのせりふまわしに、自然な間があきます。
たとえば、せっかちはすぐに、前の人に続けてかぶせるように言うし、のんびりなら、ぼうっと間があく。
次回は、Readers Theater形式で、参加者にこの本をちょっと復習程度にやっていただくつもりです。

リードアラウド・ワークショップ参加者への課題

みなさん、21日のワークショップが迫ってきました。
課題を出すのが遅くなってしまいましたが、あと数日あります!

課題書はRhyming Dust Bunnies です。
ここに登場する4人物(dust bunnies)の、「キャラ」を決めましょう。
そして、その感じで出来るだけ練習して下さい。

「キャラ」を演じる(せりふを読む)のはご自身なので、自分がやりやすいもので、かつ、子どもが聞いて違いがはっきりわかる4種に。

赤、黄緑、紫の3人は、違いが描き込まれていないので、皆さんの想像で。
ただし青は、個性が見えていますので、それに適した声と雰囲気で読みます。

わたしが経験上、やりやすいと思う方法は、具体的に有名人を当てるやり方です。
先日は、緑をマイケル・ジャクソン、紫を田中邦衛(『北の国から』のお父さん)、赤を秋山雅史(『千の風になって』のオペラ歌手)として練習してみました。
青は、典型的な7歳の、無垢な少年。

この位、差があるとどうにかやれるようです。
自分の知っている人でもいいでしょう。
秘訣は、個性的な人を選ぶこと。

では、健闘を祈ります!