小1とGoodnight Moon

1947年以来、絶版になったことのない、正真正銘のロングセラー絵本に、Goodnight Moon がある。

これを使って、リードアラウドするのが、案外難しく、指導者向けのワークショップで教材にしたこともある。
そのときの、先生たちの不安げな読みや、模擬授業を思い出す。
「この本の面白さが、わかりません」
という意見まで出た。

でも、60年以上も子どもに愛されてきてるわけで、それにはその理由があるはず。

先日は、いつもの私立小学校で、この度は1年生と、この絵本をリードアラウドした。
結果?
あんまり読みたがる子が多くて、時間オーバーするほどだった。
喜んで読むから、ずいぶん読めるようになったと思う。
話も弾むし、これって、やはりこの本に魅力があるから。

大人と読んでいるときとの、一番の違いは、
「おやすみなさい、〜」と、子ウサギが自分の部屋にあるものや、いるものに呼びかけていくという内容に、小1は何の抵抗もないこと。
まったく自然に、この本の状況は腑に落ちる感じだ。

大人の多くは、この子どもらしい就眠儀式が、もはや腑に落ちなくなってしまっているらしい。
だから、懐疑的な読みになる。
「これって、面白いの?飽きない?」
そう思って読んでいる声を聞くと、子どもはシラけるに違いない。

子どもの頭の回路で考えると、寝る時に、部屋中のものひとつひとつに「おやすみ」を言っていくのは、ごく自然なことだろう。
ひとつでもいい忘れたら、大変な気持ちになってしまうほど。
あの子、この子と、ものも擬人化して、ちゃんとそれらに挨拶がいる世界に住んでいた頃の「しっぽ」を、小1はまだ持っているのに違いない。

本書の作者、M.W.ブラウンは、NYに40年代に出来た先鋭的な教育者集団の研究機関であり子どもを預かる学校でもある、Bank Street Schoolで、つぶさに子どもを観察した人だ。
子どもの発言を、ずっとメモしていったらしい。
それらの、本物の子どもの発言から本書も編まれたという。
そう、この本、本当に、子どもの発想と発言に忠実なのである。

英語というバリヤーを、さっさと外させて、この本の本質をつかませると、小1(学校の授業で週に数時間、英語をやって9ヶ月目の頃)でも本書は、抵抗なく楽しく読めることを、この日のリードアラウドでも実感した。
Goodnight Moon Book and CD (Share a Story)
『Goodnight Moon Book and CD (Share a Story)』

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