年始はTVでCatch up

新年になった。
とはいえ、いくつか宿題を抱えているので、受験生時代のように禁欲的な元旦だった。
夜になって、頭が飽和。
TVで世の中の話題をcatch upしようかと、チャンネルをまわした。
手を止めたのが、及川光博さんと南果歩さんの顔の場面。
あれ、あの華やぎのある南さんが、すっかり「おばさん」になっている……。

玉川のデパートのエレベーターで、4年ほど前、ある二人連れと3人きりになった。
足が細い長い、スラリとした二人。
視覚を最大広角にして、まず女性の顔を視野に入れるとそれは、南果歩さんだった。
じゃ隣は夫?
限界的横目で目が落ちそうになったが、渡辺謙さんが確認できた。
ほほう、二人とも立ち姿が違う、顔の輝きが違う……。

こんなことで「生」を知っている南さんが、元旦のTVでおばさん風だ。
水谷豊さんが出てきた。
なんだ、『相棒』というドラマで、息子を殺され復讐する「おばさん」役を演じているのだ。

リードアラウドでわたしも、一応、芸を磨いている。
最近の課題は、違う役をその想定年齢や役柄らしく読むこと。
「おじいさん」役をどうにか合格したところだ。
南さんが、普段の華やいだスターっぽさを、どう消して普通のおばさんを演じているのかは、興味のあるところだ。
工夫している点に注意を集中させて、TVの画面を見つめた。

声、発声している場所を変えている。
後ろというか奥から出す響く声ではなく、手前の口先で出す声だ。
「あんた、何してんのよ」
浅く、顔を前に反り気味にし、弛緩した疲れた表情で言う。
「やーだ、ははっ、きゃはは」
笑い声は、不必要に大声でけたたましい。
手で、軽く相手をぶつジェスチャーをつけていた。
姿勢は、下腹を少し出す感じ、胃のあたりが代わりに引っ込む。
顎が少し前に出ている(ネアンデルタール人、2歩手前程度)。
油断した表情、緊張のない表情にすぐなる。

ファミリーレストランのパートのウェイトレスをしているという設定のおばさんを演じていたのだが、歩き方も、オーダーをとる立ち姿も、普段の南さんのファション・モデル風な歩きは封印して、姿勢の悪い、膝を伸ばさないで歩くおばさんだ。

台本もいいのだろう。
訪ねてきた刑事二人に、お茶を出す場面。
いらない、うるさい、ぶりっこ、なれなれしい会話が多い。
「あらあー、うふ。これ、美味しいわあ」
「さあさっ、冷めないうちにー、どーぞー、ね、ほら」

リードアラウド指導者は、演じるように読む部分で、かなり滑稽な姿を生徒や参加者にさらす。
コメディアンなら、そのまま、滑稽でいいのだが、リードアラウド指導者には英語の先生の側面もある。
こちらは、教育的効果のためにも格好良くあるべきだ。
格好悪くては、英語をやる気にならない。
滑稽というかユーモラスな姿と、格好いい姿、この二面性あってこそ、表現することへの興味や面白みを感じてもらえると思う。

スターでもない「おばさん」側にいるわたしたちは、普段は格好いい南さんが「おばさん」を演じるためにしたことの反対をすればいい。
わたしたちの普段を取り去っていくと、格好よくなれるはずだ。
声、姿勢、歩き方、立ち方、ものの言い方、あ、それと間食も。
南のおばさま、ぼりぼりお菓子を食べる演技もあった。

新年、格好のつけかたも、みなさんと研究していきたい。

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