英語に気持ちを乗せる

英語を使って暮らした経験がないと、身につけるのが容易でないことがある。
母語での感情を、外国語である英語に、欲求不満なく乗せることだ。

例えば、「あ、痛い!」と感じたとき、「it hurts!」と言って同じテンションで伝えられているか。
「はあ〜っ?」と、心底あきれて怒っている気持ちが、「What?」と言って、自分でもの足りているか。

リードアラウドの指導をしていると、頑張って英語を国内で勉強した大人に、特にこの母語と英語の感情が一致していない感じを受けることがある。

これまで、そう感じた時の指導で、比較的うまくいっているのが、該当する日本語、たとえば「痛〜いっ!」などと叫んでもらって、そのすぐ後に It hurts!!! を言ってもらう方法だ。
痛かった感情が残っているうちに、その感情を英語に乗り移らせる。

これは、演劇の勉強のようだが、語学学習にも必要なこと、という気がしている。
これができれば同時に、表現豊かな読みを求めるリードアラウドができるということでもある。

演劇で「棒読み」と言われる演技力不足は、語学で言うと「コミュニケーション力不足」と同じことなのかも知れない。

痛いのをあまり痛く感じなさそうな人だったり、喜怒哀楽があまりない人とみられたり、英語力の問題なのに、英語圏で生活していると「気持ちがない人」と見られる、つまり人格的なものになってしまう。
日本語を話しているときの性格と英語の時の性格が、単なる語学力の差で違ってしまうという、多重人格のような辛い状況になる。

その表現力の差とも言える差を縮める語学学習法のひとつが、リードアラウドかもしれないという気がしている。

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