人間の行いを考えさせる絵本

Old Turtle and the Broken Truth
『Old Turtle and the Broken Truth』
は、ちょっと子どもにはもったいない、大人の心に訴えるいい絵本だ。

現在、二子玉川にある高齢者施設で、3人の素晴らしい女性たちと月に1度、この絵本を読んでいる。
3人は80〜90歳だが、本に臨む姿勢はそこらの学生さんなど足下にも及ばない。
1年以上のおつきあいになり、どうしてこの3人はこんなに向学心があって、おまけに土台がしっかりしているのか、だんだん知りたくなった。

話を聞き始めて、「ああやっぱり」という特別な英語のバックグランドを持っていたのがAさん。
敗戦直後から、東京のカナダ領事館(後に大使館)に勤めていたのだ。
手紙の翻訳など文書の翻訳をやっていたというだけあって、逐語訳がすらすら出て来る。
わたしは「翻訳マシーン」と呼ばせて頂いて、復習のときなどは、Aさんの前の架空のボタンを押す、というルーチンが出来て来た。
それを押すと、いくら長いセンテンスでもAさんの口から一語も迷いなく、和訳が出て来るのである。
わたしの訳は、どちらかといえば「超訳」、映画の字幕的になるが、Aさんのは受験問題集の解答のよう。
下書きもなく、本当に魔法のようにカッチリした訳がすらすら出て来るのだ。

先日は、戦後すぐのカナダ領事館では、Aさんのような現地従業員、つまり日本人従業員には食事とお風呂がついていた、ということを聞いた。
「敗戦国の国民でかわいそう、それにシラミがわいているとでも思ったんでしょう」。言い方に誇りが感じられて、なんだかほれぼれした。

Old Turtleでは、「人間が見つけたと思った真実、a truthが、実はその地域の同人種の思う真実で、the truth とは違った……」というくだりを読んでいる。
a truthとthe truthの違いなどを話しながら、「これはイスラエルとパレスチナのお話みたいですね」と、バリバリのキャリア・ガールだったHさん。
それから、宗教と人間の話からパキスタン、バングラデシュなど戦後に生まれた国々やその戦いなどにしばし話が及んだ。

こういう話を醸す本も深いが、賢婦人たちとの話も深い。