上海で英語を使う

アエラ・イングリッシュ(AE)でBOOKという洋書案内コラムを担当しているから言うのではないが、2010年8月号の中国人(取材は上海)の「3倍速」英語上達法についての特集を面白く読んだ。

国際都市上海には、猛烈に英語を勉強している中国人がいて、その人たちのエネルギッシュな勉強とその方法に感心させられる。

留学時代に気付いたのは、高等教育を受けた中国人の英語発音はかなりいいということ。
(同程度の教育レベルの日本人の発音は、「いい」と言える確率が中国人より低い。)
航空機客室乗務員の英語にしても、日系英語よりずっと違和感が少ない。
と言うのも、rの音やthの音に近いものが中国語にあるからということもある。

先日行った上海には、日本語を話す上海人の友人がいる。
彼の妻とはジェスチャーだが、24歳になる息子さんとは英語で話す。
息子さんは、多少切れ切れで語彙も足りないのだが、ぽんと英語のセンテンスが出ると、そこだけはネイティブっぽい。

「いったいその素晴らしい英語は、どこで学んだのか」
以前、日本人の英語をよく知っているアメリカ人が、お世辞ではなく、彼に尋ねた事がある。
「高校と大学だけで」と息子さん。

万博会場の案内係は大学生ボランティアだったりするが、英語がやはり上手。
旅行代理店もそう外国人客が多そうでもないところだったのに、英語で話してみたら、「なーんだ、英語上手いんだ」と拍子抜け。

くだんの記事からも、大学での英語教育がかなりいいことが推察できる。
それに、英語力が仕事に直結すると言うから、やる気もぜんぜん違うだろうな……。

んもう!
サッカーもいいが英語も、がんばれ日本!

アエラで紹介した本:Life Storyリスト

上海万博に行った

上海万博の北朝鮮パビリオンにも驚いたが、中国版「農協」パワーにも驚いた。

北朝鮮パビリオンは、待ち時間がなさそうだし、怖いもの見たさで一番に入った。
「えっ」。
世界の、5年に1度の万博に、このパビリオン?
「これでも、中国政府、たくさん助けたヨ」
と、中身がからっぽで文化祭程度の見かけしかない展示を見て、上海人の友人は言う。
「でも、みやげもの屋のお姉さん。化粧も薄いのにホント、奇麗のお姉さんネ」。
これには同感。
クールビューティが、文字通り、このスカスカのパビリオンに花を添えていた。

でもなによりも驚いたのは、会場をつなぐフェリーを待っていた時だ。
船はどんどん来るというのに、人が多いせいで、どんどん待ち合い所が人でふくれあがる。
そこで並んで待っているのに、好きなところに割って入る人が何人もいる。
警備員も何もいわず、放送もない。

「はあっ?」
わたしがそう「表現豊かに」(リードアラウドのお約束どおり)不快感を分かりやすく言っても、入ってくる。
そのひとり、肩でぐいぐい前に割り込んで行くおじさんがいた。
とうとうその肩をつかんで、わたしは言った。

「あの、ちょいと。おじさん、今、列の外から入ったよね。わたしたち、並んでるんですけど?」
もちろん日本語だから、おじさんはしっかりわたしを無視する。
そうしたら、同じ団体の他のおじさんが見かねたのかなんだか、わたしの友人になまった標準語、地方の農民らしい言い方でこう言ったそうだ。
「うちら、地方の者はな、都会のルールなんぞ知らねえさ」

もっと恐ろしいのは、フェリーが着いて、待っている列の先頭のロープが外されたときだった。
こぼれんばかりにふくれあがった群集が、ウオーと喚声をあげて走る、走る。
エキストラによるコジラ映画の脱出の場面、またはハリウッド映画のローマの戦闘場面だ。いや、百姓一揆か。

老いも若きも、男女問わず、船まで猛ダッシュ。
みんながわたしたちをどんどん追い越して、船に入って行く。
ダーっダーっ。
人々が超真顔で一目散で走っている。
怖い。
パニックシーンの真ん中に入ってしまったようで、パニックしそうだ。

これは、満州から日本へ戻る最後の船じゃないゾ。
たかが、1時間に何本も往復している渡し船だゾ。
もちろん、だれもそんなこと聞いてくれない。

生存競争の予行練習のような、上海万博だった。
China : The Culture (The Lands, Peoples, and the Cultures Series)

英単語の音声について

 自由が丘で始めたスクールや、複数の書店や学校へ出向いてのリードアラウドで使う絵本、あたり前だがパフォーマンスをするとき、「初見」はありえない。

 だが告白するが、だいぶ以前に数回、ネイティブでないがゆえに、その場に及んで単語の発音にヒヤーっとしたことがあった。
練習中は気にしなかった「不案内度」が、人前に出て急に大きくなることがあることを知った。

 これに懲りて、知っていると思う単語の発音でも、音声付きの辞書で調べるようにしている。

愛用していた電子辞書は、あまりに開閉回数が多かったのか、蓋の蝶番(ちょうつがい)が壊れた。
そんなこともあって、しばらくインターネットの無料辞書サイト、Merriam-Websterを愛用していた。

辞書の名門なだけあって、詳細な記述とすべてについている音声データが素晴らしい。
これをブッククラブの解説にリンクさせてもらってもいる。

だが最近、iPodを買った。
だから、アプリの辞書を使うことにした。
Merriam-Websterはここでも無料なのでダウンロードしたが、ネットに繋いだ状態でなければ使えない。
有料でも、ネットなしで使え、音声も多くついた英和辞典を購買した。
電子辞書のことは忘れるくらい、使い心地は悪くない。

そんなおり、「音声をPCで調べるのは面倒なので、発音記号を解説につけて欲しい」という希望が、あるブッククラブの会員から、2度も、寄せられたと聞いた。

学生時代に、発音記号をみても、いまひとつその音に確信をもてなかった自分を思うと、ネイティブの発音がいつでも聞ける今が夢のようだ。
だからその会員の「面倒」の意味がよくわからない。

英単語に関しては、生の音声が聞ける機器が手元に置ける時代だ。
これがあるにもかかわらず、単語をまちがって発音したり、「発音できない単語」があるのは、学習者の怠慢かも。
また発音記号は、いまや学校での必修ではなくなったので、もしかしたら(わたしら!)年配者にしか通用しない?!

(が、しかし。日本のアプリ辞書はまだ「万能」ではない。定評ある辞書のアプリに、あってはならない音声データミスを発見!先日、出版社に「通報」したので、修正がそのうちされるでしょう……)。

気長に、手塩にかけて

 ベランダで育てている植物を見ていて思う。
植物は、そこでじっと見ていても育っていないみたいだ。
でも数日から数週間後、はっと気が付くと、まるで突然のように、つぼみをつけていたり、大きくなっている。

 英語絵本をリードアラウドしながら教えて、英語好きの子どもたちを育てようと、自由が丘でスクールをこの春に始めた。
そこは、リードアラウド指導者ワークショップが輩出している先生方の、フィールドでもある。

まずは、クラスがひとつ。
初歩の子どもたちとそのお母さん方を生徒に、先生2人とわたしが教える小さなスクールだ。

でもそこで、光栄だが悩ましいことが発生!
クラスがひとつしかないのに、初歩レベルより進んだ子どもたちが数人、一緒に学ぶ意志を見せてくれたのだ。
「reading力育成」をうたったスクールに、魅力を感じてくれたのかもしれない。

こうした先を行く子ども向けの別クラスを作れたら、
スクールの「ハリーポッターレベルが読める子、輩出計画」が、短縮できるかもしれない。
でも、先生の数、教室の大きさは、今年の予定で組まれている……。

欲張って、初歩クラスと一緒にさせてもらってはみたが、なかなか「二刀流」は難しい。
結果的に、その子たちには簡単すぎると感じさせることになってしまう。

待とう、気長に。
初歩の第1期生が育って行くのを。
今は、「光」「空気」「水」、怠りなく注ぐ。
ていねいに育てて、あるとき、はっと気付くのだ。
その大きなつぼみに。

ABC I Like Me!No, David!Not a BoxBob Books Listen and Read 1 Set 1 : Beginning Readers 1-4 + CD
●スクールには、あと数組ですが、編入の余裕があります!

夏だ!「読書の季節」だ!

新学期シーズンで、指導計画を立てたりワークショップで忙しくしていた。

早いもので衣替え、そして梅雨の季節となり、インター校や太平洋の向こう側ではもうすでに夏休み。
「Summer Reading! 」の標語が目に飛び込む季節だ。

「Reading! Reading! Reading!」
と多くのポスターが呼びかけるように、英語圏では「子どもにreading=読書を」と口が酸っぱくなるほど言われている。

わたしも自らの英語学習や教えてきた経験から、それに同感する。
だから「英語の本の楽しさを伝える」ことをミッションとして、ここ10年余やってきた。
そういえば、英語読書ガイドブック『キッズだけにじゃもったいないブックス』シリーズ2冊を出してから、5年以上経つ。

そんな折、「英語児童書のガイドブック第3弾の企画があれば、検討しますよ」と、ありがたい編集者からの連絡が入った。
出版企画はボツになることも多い昨今で期待はできないが、ちょっと第3弾について考え始めた。

「多読」が流行っているとは聞くが、実際に「夢中になって一気に読んだ」とか言える英語の本は、一般的な日本人の場合は少ないと思う。
自分の経験からしても、挫折することが多いのではないだろうか。

そのわけは、自分のレベルにあっていない本だから。
ESL学習者用に簡単な英語で書き直された「リーダー」の英語レベルで読むと、今度は内容の「精神レベル」が(幼稚過ぎで)自分にあわない……。

これを改善するには、書き直された本ではなくもとから児童文学として書かれた文学作品から、出来るだけ客観的に本の英語レベルと自分の英語レベルを合わせ、自分の興味分野をさらに合わせて選書するのだ。
これまで、キッズブックスのブッククラブで試みてきたように。

そんな、指針をもった英語読書ガイドの企画を、かの編集者とその出版社に「売れる」と受けとめてくれるといいのだが。