もっと光を……

指導者向けリードアラウド・ワークショップの第2セッションの1回目があり、またまた熱心な先生方が集まった。
今回取り上げた主なる絵本は、Madeline。

「リードアラウドとは」についての確認は、来月にある2回目に回し、この日はリードアラウドを指導する者の読み方をご指南させていただいた。

Madelineは、いつものRA選書よりもページが多い、長丁場の絵本なので、特に子どもたちを飽きさせない盛り上げ方、生き生きした読み方を会得したい。

指導者がただスラーと字を読むだけでは、子どもには意味の分からないお経を聞くのと同じ。特に、本書に多いナレーションの部分を、ただ聞くのはだれにとっても苦行だ。(こういった、どちらかと言えば、英語の先生の自己満足的なのが、いわゆる「英語の読み聞かせ」)。

そこで……
ひとつひとつの言葉に、光をあてる。
というか、妖精のティンカーベルが何かに魔法の棒をふると、光の粒が散ってそれが輝きだすように、そこに書かれた言葉それぞれに生命を宿らせるのだ。

たとえば、
in rain
or shine
とあったら、in-rain-or-shine と棒読みや、ただ文字面を読むのではなく、
「あ、雨模様……でもしょうがない」と一瞬、雨空を恨んだりする自分を思って
in rain
を読む。

それから、「わあ!いいお天気。……気持ちいいなあ」と明るく、口角をあげ微笑み、すっーと深呼吸したりして、
or shine
を読む。

ほら、不思議!
言葉ひとつひとつが光りだす。
この、「言葉ひとつひとつ光らせ作戦」がRAには有効だ。

ワークショップ参加のみなさん、来月まで練習に励んでください。
健闘を祈っています!!

Yo! ニューヨーク!

毎年恒例のBook Expo America。今年もニューヨークで開催された。
出版社が書店のバイヤーたちに新刊を売り込むための展示会が大きくなったようなものだ。
しかし、90年代末から比べると少々しょぼくれてしまった……。

今年は特に電子書籍のことで、本屋、作家、出版社は頭がいっぱいだ。
本屋に行って本を買わなくても、話題のiPadをはじめ、電子ブックリーダー、スマートフォーン、コンピューターで本を買って読む時代が始まりつつある。
さらに、プロモーションのために、無料の電子書籍を提供する作家や出版社も出てきている。
紙の本の売上げが下がっている。

そんな関係のセミナーに立て続けに出て、情報をアップデイトしていたが、やっぱりほっとするのは新刊を手にして見るとき。

会場で、懐かしい人に会った!
出版社のブースでサインをしていた絵本作家のDavid Wiesnerさん。
15年くらい前、雑誌「MOE」の仕事で、この作家にインタビューをしたことがあるのだ。
場所は、セントラルパークの豪華マンション(編集者の家)だった。

あのときは、コルデコット大賞は『Tuesday』1冊だけだったが、今では3冊もある。
これは他に例のない実績で、いまや大作家となったわけだが、まったく尊大なところのないのは、インタビューしたときの印象と変わらずだった。

「10年以上前にお会いしましたが、お久しぶりです」
と声をかけた。
「……ん? ……そうだ、覚えているよ! あのとき、千代紙をおみやげにもらって。あれ、まだアトリエに飾っているんだよ」
やっぱり、いい人なのである。

Tuesday
『Tuesday』

June 29, 1999
『June 29, 1999』

Free Fall
『Free Fall』

Hurricane
『Hurricane』

他人との距離

ロサンジェルスに住んでいた頃は、犯罪率も高く人心が荒れていると感じたこともあって、ここ約10年、アメリカといえばほっとするポートランドに戻ることにしている。

田舎でも大都会でもない「中都会」、IT関連の企業も多くインテリの割合が高い。
民主党支持者の多いリベラルな街としても有名だ。
本屋さんとオーガニックマーケット、コーヒー屋が繁盛しているのも、そんなわけから。

みんなが親切なお隣さんみたいなところも、ほっとする一因だ。
他人との距離の取り方が、東京とは違う。

昨日はまたPowell’s Booksへ行ったが、空調の関係かなにかで埃を吸ったようで、咳き込んだ。
人に迷惑だと思い、化粧室の個室に入り、思う存分咳をしていた。
すると
「どうしましたか?店の人に助けを呼びましょうか」
の声。
すぐには、自分のことだとぴんとこなかったが、ああ!
確かに咳き込み方からすると、かなり気分が悪い人に聞こえたのだろう。
東京で、誰かが化粧室の個室でこう咳き込んでいても、なかなか声はかからない。
声をかけたら助かることも多いだろう。

化粧室で感心してから、児童書のコーナーに戻り、本を見ていると
「ねえ、あなたは身長どのくらい?」
と急にご婦人が声をかけて来た。
えーっとフィートで言うと……、と反射的に考えたが、ちょっと待てよ。
見知らぬわたしの身長を、本当に知りたいのではないだろう。

見るとその婦人は、明らかにわたしより背が低い。
「あっ、高いところの本がとりたいのですね」
とわたし。
待ってましたとばかりに、あれとこれとそれ……遠慮なくの5,6冊のご指定。
婦人もにこにこ、それを見てわたしもにこだ。
東京で、こういうことあんまりないなあ。

そして、今日はちょっと驚いた。
車が歩道にすーっと寄って来たと思ったら、窓があき顔を出した青年が
「ちょっと!ぼくの郵便物、そこのポストに入れていただけませんか?」
と、ポストに近づいていた女性に声をかけた。
一応、大変丁寧な言葉遣いで。
「えーわたし?急いでいるけど……しょうがないわね」
肩をすくめながらも、女性は郵便物を男性から受け取りポストへ。

これは良し悪し?
生きやすいといえば、生きやすい社会なのかも。

越境者の定め?シアトルにて

昨日、Seattleからアメリカに入国。
また、入国審査で嫌な思いをした。
「しょっちゅうアメリカに来ているが、用向きは何か」
という質問は、審査官としてその感じ悪い態度は別として、内容的には尋ねるべきものなのだろう。
でも、「土産物はない」と本当のことを言ったのに、
「あんた卒業式にでるのに、ギフトがないって?」
という、まったく信じないという感じで嘲笑しながらの言い方は、大変不愉快なものだった。

「食べ物は持っているか」に対して、つい日常会話的に
I don’t think so.
と、婉曲にわたしが否定したらオットット。

Don’t think so?
と、待ってましたとばかりに一語一語切って語尾を上げ、ギロリ。

さすが、いつも表現に神経質なわたしだ。
相手のセリフに込められたニュアンスには敏感だ。
あ〜、この審査官、感じワル!
Oh, I mean I don’t have any.
こうあわてて、わたしは言い直し、
土産物については、わざわざなぜ持っていないかの説明までした。

後で思いついたthe best answerは、
Oh, I thought I could buy it(ギフト) here in the U.S.
貿易振興の一助になれば、嬉しかろう。

となりの入国審査ブースでも、酷い質問をされているのが聞こえてきた。
入国の目的を「friendに会うため」と答えた若い女性が、
Boy?
と、嫌らしい笑みを浮かべた官吏に、帰国用航空券の提示とともに「尋問」されていた。

アメリカに外国人が住み着くのが嫌、というのがアリアリ見て取れる。
水際作戦の一環だろう。
日本へ外国人が入る「水際」では、どんな感じなのだろう。

でも今までで、一番怖い入国審査は、1978年にアフガニスタンからイランへ「病気持ち」を隠して入ったとき。
アフガニスタンでは治療が受けられないため、本当に決死の入国だった……。
それを思えば、他は楽勝、か。

新年度が始まった!

自前のスクール(キッズブックス英語スクール)のスタートを追うように、前年度に続き私立小学校と公立小学校でのリードアラウドが始まった。

私立小の方は、申込み多数のため、15人3回づつで入れ替え制。1年間で1学年45人がリードアラウド体験できるようになった。
それでも抽選をしたくらい、人気クラスに育ったようだ。
幸せが、じんわり体に満ちて来る。

入学したての1年生のクラス。
始まるまでの数分間、みんなちょこんと座りシーンとしている。
15人もの子どもがみんなシーンとしている図、というのも感動的。
ところが60分後には、Yo! とかYes?とか、What’s up? とか、そしてYow!と叫んで跳んだりのニコニコ顔で教室から出ていくことに。
「せんせ、おもしろ〜い」と、最大級の褒め言葉をもらえ、わたしの顔もほころぶ。

2年生も、吸い取り紙みたいにCookie’s Week をきゅうきゅう吸収して行く。
ページをめくるたびに、子ネコのCookieの新たないたずらが描かれ、それを見ながら「あ〜」とか子どもたちの嘆息がもれる。
物語に乗ってくれたらしい……。ほっ。

そして心配だった公立小学校の午後の課外授業。
この日、20数名が参加したが、Yow! A-OK!

Yoの発音など抜群になった。
リードアラウド研修生のI先生との相性も上々。
「悪魔」のわたしと「天使」のI先生での、Yo! Yes? 寸劇も、大人ふたりが馬鹿をするのを見て、子どもの心も解き放たれたようだ。
そのあとの、子ども自身による会話練習も、初回にしてはたいへんな出来。
こちらも、ほっ。

これらに加えて、うれしいニュース!
今年度は、新たに私立男子中学校でもリードアラウドすることに……。Yow!