アメリカの高校生たちにSAT(大学受験用の共通テスト)の数学を教えていた頃に、嫌でもSATの英語部分を見ることになり、そのレベルの高さにショックを受けた。
まあ、英語を母語とする高校生向けの英語のテストだからあたり前だ。
これに対し、SATと同じ機関が作っているTOEFLは、わたしも受けたが、留学生用のテストだ。
これはいわばこのSATの数学部分をとり、わたしの実感的にはSATより7割ほど簡単なもの。
選択問題の選択肢もTOEFLは4つだが、SATは5つ。
その分、SATはぐっと難しい。
そこで、もう当時は大学を卒業していたが語彙のなさは自覚していたので、発奮して、「SATで高得点が取れる」をウリにしたある音声教材で勉強を始めた。
当時はカセットテープだったが、それはドラマ仕立てで聴かせて、その中で高踏な単語を使う。シグナル音と繰り返しと解説で、それらの単語を聴くものの記憶のなかに刷り込む。
もう手元になくなっていたが、後輩などから英語の相談を受けると、その教材のことを時々話していたが、探すことまでしなかった。
それを、ついこの間、再び見つけた……。
ちゃんとCDになって、まだまだ現役だった!
CD5枚の中に、ラジオドラマのような素晴らしいオリジナル・エピソード7話が、一流の声優たちによって演じられ収録されている。
RAをやるようになって声の表現にうるさくなった今、ちょっと恐る恐る聞き直してみたら……、素晴らしい!
やっぱり名演で、これならRAの練習にもなる。
わたしのRAのアイディアは、この教材も潜在的に影響しているのかも知れないと思った。
何しろ、テープが痛むほどよく聴いた。
CDになったので、頭出しも繰り返しも簡単だ。
これです、これ。これが「幻の教材」。
高級な語彙とその発音、そしてそれをどう文脈のなかで、どんなニュアンスで使うかを、同時に身につけたかったら、お勧め。
『WordPlay: 550+ Words You Need to Know』