2年生とMadelineをリードアラウド:その1

 1年生のときから、わたしとリードアラウドを続けてきた都下の私立小学校の2年生と、Madelineを読み始めた。60分のセッション2回で完成させる予定で、昨日がその1回目。

 驚いた。
「作者があちこちにちりばめた、韻を踏んだ単語を聞き分けられるだろうか?」と不安を胸に恐る恐る、最初のセンテンスをわたしが読むと……。
「よく聞かないと、その音が分からないから、静かにね」というと、すっかり静かになったことから、まず驚かされる。クイズに一番に答えようとするような、真剣な目、目、目。

 In an old house in Paris
that was covered with vines
lived twelve little girls in two straight lines.

これは、「常識的英語教師」だったら英語2年生には「難しすぎる」と却下してしまいそうな、洗練された英語である。わたしは、洗練された英語だから、子どもたちにも早くから読ませたいと思う。読んだ後、「同じ音が何か聞こえた?」と子どもたちに聞いた。すると、さっそく
「Parisとlines」とひとり。「そう!でもまだある」とわたし。待ちきれないように手を挙げる子どもたち。「vinesとgirlsです」。

ああ、全問正解!(読みながら、実に練りに練った文章だと再認識した。sの音だけでなく、inが3回出て来てそれもリズムをとっている。音楽的!リードアラウドすると、作者の努力や天分がよくわかる。作品の素晴らしさがよくわかる。原書で読む意味は、こんなところにもある)。

……この調子で、押韻された文をまとめて読み、そこで韻を踏んだ言葉を聞き分けてもらうのだが、もうみんなの耳のよさには舌を巻くばかり。たとえ文字でどれかは指摘できずとも「right とnight」などと、すばらしい発音で答える子もいる。

音楽の聴音にそっくりだ。聴音は聞いてすぐに音を認識し、それからもう一歩行って、それを音符に置き換える。音感というのだろうか。英語もこの「音感」のようなものが身に付くと、習得が楽になる。

小学2年生の耳は、これまでわたしが教えてきた中高生や大人より数段も素晴らしいことを、この日、目の当りにした。この年頃に、英語の「音感」を自分のなかに培っていけるというのは、本当に恵まれたことだ。

わたしは18歳をすぎてから一大奮起して、人知れず鏡とテープレコーダーを前に発音と格闘した。そんなことを、この子どもたちはきっとしないで済むんだ、と思ったら胸が熱くなった。(つづく)
Madeline (Puffin Storytime)

One Reply to “2年生とMadelineをリードアラウド:その1”

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